第六作戦:資金調達と闇オークション
アジトに戻った蝶々たち。
山積みの札束を目の前に、達成感が漂う。
「これで当面の活動資金は確保できたな」
蝶々が腕を組んで冷静に言うが、その隣ではアンカーが
山積みの札束に顔を埋めている。
「すぅ…♪はぁ…♪
やっぱ新札の匂いはたまらんなぁ!これが悪事の醍醐味や!」
パンドラはそんなアンカーを横目に、「蝶々様。お金はわたくしが
管理してもよろしいでしょうか!」と頼み込む。
しかし、蝶々を含め幹部たちが全員却下する。
「パンドラ、お前に金の管理を任せたら…
どうせ無駄遣いするだろう?」
「ピエラちゃんは良く分からないけど…
ちょー様に賛成なのだっ」
「蝶々はんに全面的に賛成や」
「グル…」
「賛成。絶対にパンドラにお金を管理させちゃダメよ」
「…ボ ボクもパンドラさんにお金渡しちゃダメだと思う
…無駄遣いするだろうし…」
「ひどいですわ…」とすすり泣く振りをしながら
さり気なく蝶々の尻に手を伸ばすパンドラ。
それを察してか、鋭い拳がパンドラの顔を捉え吹き飛ばす。
見慣れた光景だ。
「しかし…まだ安心はできないな…」
「どうしてよ?これだけあれば余裕でしょ?」
エルが椅子に座りながら足をブラブラさせて言う。
「いや、ダメだ」蝶々は真剣な顔で続けた。「これから、悪の組織を円滑に
進めていくにはまだまだ足りない。」
「まぁ…そうやな…ピエラの食費だってバカにならんし…
それ何本目や?」
「もぐもぐ…ん~数えてないのだ…
でも、」ピエラちゃんいっぱい食べるのだっ。あむあむ」
「ピエラさん…まだ食べるの?…ボ ボク…見てるだけで
お腹いっぱいだよ…」
「確かに…ピエラ見てたら…少し不安かも…」
「それと戦闘員たちも1から集めて行かなくてはならない…そのための金だ…
金はいくらあっても良い
今回は運よく成功したが、次も銀行強盗が成功するとは限らない。
継続的により安全にお金を稼ぐ方法を考えないとダメだ。」
「アール。何かある?」
「えぇ…うーん…何かしょ 商売する…とか…?」
「各々案はあるか?」
「はい」とパンドラは自信満々に目を輝かせ挙手する。
「蝶々様!セクシーキャバクラなんてどうでしょう?
可愛い女たちを雇い入れ男たちから金を巻き上げるのです!
わたくしが面接でレベルの高い子を採用しますわ♥」
「……ただ、セクハラしたいだけじゃないか…?」
蝶々が即座に否定すると、ピエラが勢いよく手を挙げた。
「じゃあピエラちゃんがチキン料理のお店をやるのだ!
味見もしっかりやるから大丈夫なのだ!」
「それ、あんたが客のチキンを食べ尽くして終わりじゃない?」
エルが冷静にツッコむ。
そのとき、アールが恐る恐る提案した。
「ボス…じゃ、じゃあ、闇オークションとか…どうでしょう…?
裏の住人たちなら…足は使いないし…」
「中々いいじゃない♪」
「……」
蝶々は腕を組んで考え込むとゆっくり頷く。
「…このままでは埒があかないし…試しにやってめるか」
こうして、悪の組織『不死鳥の羽』主催の闇オークションを開催することとなった。
数日後、地下に怪しげなオークション会場を完成させ
裏の住人達を呼び寄せる。
裏の人間や、組織に属していない怪人たちが集結し
異様な雰囲気が会場を支配する。
「第一回悪の組織『不死鳥の羽』主催。
闇オークションを開催するでぇ!」
久しぶりに不死鳥の羽の名を聞いた者たちから驚きと歓声の声が響く。
「中々盛況だな…これは商品次第ではかなりの利益になるぞ…」
「記念すべき最初の商品は…これや!」
エルが壇上に上がり、大きな箱をドンと置く。
「この中には、なんと――!」
会場の客たちが息を飲む中、ピエラが蓋を開けると、中から出てきたのは……
「新しい首領が捨てたお古の服やぁ!」
え…と小さい声とともに会場は静まり返り、蝶々が頭を抱えた。
「ダメだ…こりゃ…」
「なんでそんなもん出してんのよ!
もっとまともなものを用意しなさいよ!」
「…さ さぁっ!10万円からスタートや…だ 誰か
入札する奴はおらんかぁっ!………」
入札スタートの宣言をしても誰も入札してくることがない。
「まだ新米の首領の服って…」「マダム・フェニックス様の私物なら…」
「せめて下着だったら…」と真っ当な意見や、変態の意見。様々な声が耳に入る。
このまま未入札で闇オークションが終わるかに思えた…
そんな中、ある人物がすっと手を挙げた。
「その服、わたくしが10万で買いますわ!」
「10万円来ました…ってぇ!何でお前が買うねん!ボケぇっ!」
それはパンドラであり、その後もパンドラが蝶々の私物を
入札して落札していくため、身内で金を回すだけになってしまった。
アンカーの怒鳴り声が会場に響き渡り、オークションは失敗に終わった。
パンドラが購入した蝶々の私物は、蝶々本人よって燃やされ
パンドラの悲鳴と鳴き声が一晩中アジトに響き渡ったのだった…。
「…もう闇オークションなんてコリゴリだ」