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第二十三作戦:記憶なきスパイと迫りくる竜

東郷とたつみ以外がいない廃墟同然のビルの静かな一室。


「東郷さん…我々…組織のうち1人…って…まさか…」


「あぁ」と頷く東郷。頷くがその動きは鈍い、たつみも信じられないようだが、

東郷はそれ以上にショックなのだろう。


「うちの…『怪異』の中にいたんだ。…スパイがな…」


「そんな…間違い…ではないですか…?」


「いや…間違いなのではない…。

そいつは、深夜に捜査室に侵入し

パソコンを操作。情報を抜き取って、悪の組織に送っていた…

私が直接確認したから…間違いない」


「……」


たつみは何も言うことができなかった。

自信が身内の中にスパイがいると知ってどう思うか…


怒り、失望、悲しみ…様々な感情が襲ってくるだろう。

立ち直れないかもしれない。


「マスク・ド・ドラゴン。本当にすまなかった。許してくれっ…」


「東郷さんっ…頭を上げて下さいっ。あなたは悪くないでしょ…?

悪いのはスパイですっ…」


何も発さないたつみを見てか、東郷が深々と頭を下げるが、

たつみはそれをやめさせる。


スパイは東郷ではないのだから謝る必要はないと。


「いや…私が悪いのだ。私自身が警察から選び引き抜いた精鋭だった。

それが…敵にそれも『不死鳥の羽』に寝返るとは…」


「……」


気にしないとも、許さないとも言いづらい中、たつみは一息入れると

東郷に話しかける。


「…ふぅ…東郷さん。とにかく今は、そのスパイの方から

不死鳥の羽についての情報を聞き出すべきだと思いますっ…」


「そうだな…ありがとう。マスク・ド・ドラゴン」


弱弱しい目の力を取り戻した東郷はスパイの元に向かう。





―――





『もう逃げられませんよっ…』


「岡井っ!不死鳥の羽について吐くんだ…!」


「うっ…!?」


たつみと東郷はスパイとして発覚した『怪異』の刑事。

岡井刑事部長を壁際に追い詰めていた。


マスク・ド・ドラゴンとして、詰め寄るわけにはいかない

たつみは、離れた場所でスピーカーモードで対応していた。


その威圧的で、鋭い目つきの東郷に詰められ

岡井は怯えた表情でしどろもどろになっていた。


「隠し立ては…許さんぞっ…貴様の行動でどれだけの被害が出たと

思っているっ…!?」


「ひぃっ…っ」


東郷は顔を真っ赤にして怒る。

それは自分のメンツが潰されたからじゃない。


信頼していた部下に裏切られた悲しみからの怒りだった。


「い、言いたいのですが…」


『言いたいのですが…何です…?』


「何だっ…不死鳥の羽から口外しないよう命令されているのかっ…!?

それとも…何か理由があるのかっ!?」


「…そ、それが…おれ、俺、思い出せないんです…!」


『は…?』


思わず力が抜けたマスクド・ドラゴンは、仮面の下で眉をひそめる。

思い出せないとは…どういうことなのか。


たつみが東郷に視線を移すと、彼もたつみと同様の反応を見せている。


『思い出せない…ふざけてるんですか…?』


「貴様がやったことだぞっ。

私が直接確認した。岡井…お前がスパイをする姿をな…!」


「それが、本当に覚えてないんです!

気づいたら警察に戻ってて…その間の記憶がまるで…本当なんですっ」


マスク・ド・ドラゴンは怪訝そうな顔をしながら、その言葉を吟味する。


『それじゃぁ何です…?気づいたら突然スパイになってたって…

言いたいんですか…?』


「そ、そうなんです!何か…おかしな催眠術にでもかけられたんじゃないかと…。」


『…どうでしょう…東郷さん…?』


たつみに関してはあり得るかもと予測し、東郷からも答えをうかがう。


「催眠術なんてオカルト…信じないと言いたいが…怪人がいる世の中だ。

あり得る…それか…こいつの嘘の可能性だってなくはない…」


『私は嘘の可能性は…低いかも…と思います…』


「…どうしてだ…?」


『催眠術と聞いて思い出したんです。…不死鳥の羽に襲われた町。

ニュースで、虚ろな目で、悪の組織の名前を高らかに宣言していた。

あれが、催眠術、または洗脳の一種なら…?』


「…っ…今朝のニュースかっ…くそ、私としたことが…そんな簡単なことに…

気付かないとは…」


東郷は頭を抱える。部下に裏切られたことで頭が回らなかった。

普段の東郷なら冷静に物事を判断し適切な判断が取れただろう…。


『っ…東郷さん…もし…ですよ…

もし、捜査で送り込んだ刑事さんたちが…催眠術にかけられていたら…?』


「…あぁっ…私も…そのことを考えていた。

報告してきた部下たちも洗脳され、私に捜査していた場所は白、だと

嘘をついていた場合…」


『「…悪の組織のアジトは…捜査をしていた施設の中っ」』


2人の意見が合致し、相談していく。


『と、いうことは岡井さんたちを含む6人。3つの施設を捜査してたんですね…?』


「あぁ、悪徳として有名な成金金融。最近できたヴァリアントサーカス、大企業

合金金属株式会社この3つだ。

3つともきな臭い匂いがしたが、特にサーカス団が怪しいと踏んだ」


『それは…なぜ…?』


「不死鳥の羽の活動時期とヴァリアントサーカスが出来たのが近かった。

ただそれだけだが…刑事の勘って奴だ…」


『…分かりました。東郷さんは『怪異』じゃない警察の方々と

金融会社と金属株式会社をもう1度調べてくれますか…?

私は…サーカス団を調べてみようと思います…』


「あぁ」


「……………」


通話を切り、東郷は歩き出す。その後ろを相模原虎徹が見ていた。





―――





「ふん♪ふんふん♪ふん~♪…っ⁉おっと…♪」


花の匂いが充満する一室。ここはアンカーの部屋。


花が香る乙女の部屋と思って中に入れば驚愕する。

そこには、鞭や、蝋、ボンテージなどSMグッズが散らばっていて、

アンカーは尻尾を椿油で整えながらサンダーに寄りかかっていた。


すると、スマホの通知音が響き確認する。


『アンカー様。スパイの1人がバレました。

サーカスの公演でマスク・ド・ドラゴンが来ることが予想されます』


「…こりゃあかんなぁ…♪」『了解や…そのスマホは処分せぇ…』


彼女は頬に汗を流すがそれでも、表情はほぼ変わらない。

むしろ、嬉しいのか舌舐めずりをしてサンダーに指示する。


「サンダー。蝶々はんたちを呼んできてくれへん…?

大至急や…♪」


「グルゥッ」


サンダーが部屋を出るとアンカーは立ち上がり商売道具であり

武器でもある尻尾を眺める。


「…この緊張感…興奮するやないかっ…♪」


静かになった部屋の床を尻尾のしなる音が響き渡った。




―――





サンダーが蝶々を呼び、蝶々はパンドラたちを早急に

呼び出す。


パンドラは、エル&アール、アンカー&サンダー、ピエラの順番で

来ると、いつもの会議室の席に座っていく。


「アンカー。一体何事かしら…?せっかく、フェニックス様グッズの

作成に勤しんでいた所でしたのに…」


唇を尖らせぶつぶつと呟くパンドラに飽きれる蝶々。

だが、それより気になるアンカーに話を振る。


「…また…お前は…まぁ、良い。アンカー…どうした。

大至急の用事とは…何か事件か?」


「そりゃ…一大事や…」


「だから…早く言いなさいよっ。アタシの読書(漫画)の邪魔

したんだから。しょうもないことだったら容赦しないわよっ!」


「…ど、どうしたの…?」


「もぐもぐ♪」


「…スパイが見つかったんや…」


一瞬にして会議室の空気が張り詰める。

パンドラもふざけた顔とは一変、真剣な表情を見せる。


「それは…本当かしら?」


「残念ながら、ほんまや…予定通り、スパイと分かりやすい奴が

見つかったけど…マスク・ド・ドラゴンが他の捜査員も調教されていると

察したみたいや…

次のサーカス公演に…おそらくマスク・ド・ドラゴンが現れるやろうなぁ…」


「中々頭が切れるようだな…私が舐めた結果か…」


指を噛む蝶々もこれからどうするか考える。


「マスク・ド・ドラゴン…おそらく変身した姿では現れないだろう」


「蝶々様の言う通りかと…変身前の姿のマスク・ド・ドラゴンが

分かっていれば、仕留めることも可能なのですけどね…」


厄介なことにマスク・ド・ドラゴンの正体は分からない。

無差別に観客を襲うことは避けた方が無難だろうと、蝶々、パンドラ、アンカーは

思ってるようだが、残る幹部は違うようだ。


「何でよ!面倒くさいから皆殺ししちゃえばよくない…?」


「…うん…」


「観客みんな食べていいのか…?」


「アホか…サーカスに何人くるか分かっとんのか…?

数百やで…?

不幸にもうちらは超がつく人気のサーカス団や。

数百の人間をいっぺんに殺すのは…無理や」


「アンカーの言う通りね。

それに、まだ向こうもわたくしたちが悪の組織だと疑っているだけで

確証はないようだしね。

リスクを負ってまで、マスク・ド・ドラゴンを含んだ観客を殺すことは

避けた方がいいわ…」


「次の公演で、マスク・ド・ドラゴンが来るとも限らない。

そこで観客を皆殺しにでもしてみろ…私たちが不死鳥の羽だと

自己紹介するだけだ…」


しばしの沈黙から蝶々が口を開く。



「マスク・ド・ドラゴンが来るにせよ、来ないにせよ。

サーカス公演は続ける。

幹部たちは目立つ行動は避け、明日に望めっ」


蝶々の言葉に従うように幹部たちは深く頷き、明日に備える。


マスク・ド・ドラゴンいう迫る竜に…




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