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第二十二作戦:正義の心(胸

ズレた大きな眼鏡を直し、眉を顰めテレビのニュースを見る竜面寺たつみ。


「イイィッ!不死鳥の羽万歳ィッ!!」」


町の人々は虚ろな目で、敬礼し悪の組織の名前を高らかに宣言する。

傍からみれば、異質な光景に思えるだろう。


たつみからは、洗脳されているようにも思える。


「…気のせいか…胸…成長しているような…。」


テレビを消し着替えようと、たつみは自室の鏡の前で自分の体を映す。

気のせいか成長した胸を手で押さえると、視界に変身ベルトが目に入る。


「マスク・ド・ドラゴン。不死鳥の羽と戦う正義のヒーロー…」


しぶしぶとマスク・ド・ドラゴンの変身ベルトを手に取った。

金色と赤で彩られた派手なベルトは、ヒーローとしての象徴らしいが、

たつみにとってはただの呪いのアイテムだ。


変身すると、どうしても胸が強調されるデザインになるのが悩みの種だった。


「おじいちゃん…なんで私にこんなアイテムを遺産として残したの…?」


怒りを込めて変身アイテムを握りしめると、部屋に光が走る。


「変身!」


一瞬で赤と金のほぼフルのアーマーに包まれたたつみ。


鏡を改めて見る、ドラゴンを模したマスクより

胸が強調されるデザインが目立つ。


胸はむき出しになっているが、特殊な素材で

守られているため包丁でも貫通しない頑丈なつくりになっている。


これで何度目だろうか。たつみの口からため息が零れてしまう。


「はぁ…何で胸が露出するの…?

これがなかったら、どんなに良いか…う~…

登場するたび、悪の組織に弄られるの…本当にいやだなぁ…」


パンドラにおっぱいドラゴンと呼ばれたことを思い出し、顔が真っ赤になる。


「っ!あぁ…思い出しただけで、恥ずかしい…っ。

こんな格好で戦ってたら…変な噂立っちゃうのかな…?はぁ…」


たつみは、ため息をつきながらアーマーの胸元を軽く押してみた。

押すとむにっとへこみ、すぐに戻る。


「…これ…本当…本当っ…に、このデザイン、実戦向きじゃないっ…。

コスプレ向きだよ…」


軽くジャンプするだけで、効果音が流れるように胸が揺れる。


「動くたびに揺れるし…一体…誰がこんな設計にしたの…?…はぁ…」


たつみの脳裏に浮かんだのは、亡き祖父の言葉。

『正義のヒーローたるもの、強さだけではダメだ。視覚的な魅力も必要だ。特に胸だ!』


心って言いたいんじゃないかとたつみは頭を抱える。


「おじいちゃんが恨めしい…百歩譲って悪の組織と戦うのは理解できる」


竜面寺家は代々、正義のヒーローとして悪の組織と戦う宿命にある。

曾祖父からそれは変わらない。


おじいちゃんの娘。たつみの母が病弱のため、マスク・ド・ドラゴンを

受けづぐことができなかった。


そのため、生まれつき祖父から、悪の組織がいつ現れても良いように

鍛えられていた。


結果、猫背でデカ眼鏡を掛ける文学少女の見た目のたつみだが、

男性にも負けない自信が彼女にはある。


「で、でも…でも…このアーマーだけは納得いかないっ…」


くるりと一回りしても変身し直しても、何度自分の姿を確認しても

胸が強調されるデザインなのは変らない。


「はぁ…」


すでに幸せが無くなるほど、たつみは変身を解除すると、ため息をつき肩を

落としながら椅子に座り込む。


最近、不死鳥の羽の活動が活発になり、怪異事件特殊対策課で

すら手を焼いているという報告が舞い込んでくる。


たつみもそれを知り、悩み続けていた。


「…やられた…」


前回、何とか不死鳥の羽を撤退させることに成功したたつみ

だったが水道局を占拠された時に盛られた薬により、町は不死鳥の羽に奪われたと

言って良い。


戦いには勝ったが勝負には敗北したのだ。


「…このままだと、怪人たちの勢力がどんどん広がっちゃう…。

正義のヒーローとして、放っておけないっ…」


新聞記事には、不死鳥の羽の怪人幹部たちの悪行が載っている。


『詐欺』『窃盗』『暴行』様々だ。


軽犯罪もある中、不死鳥の羽から受け死傷したとされる人物も

見受けられる。


「でも…東郷さんから連絡はなし…」


不死鳥の羽の情報は来ていない…

渡さないというより、渡せないんだろう…それは、たつみにも分かっている。


不死鳥の羽の居所が分からない以上、組織が活動するまで

ただ、黙っていることしかできない。


「…いったい…どこにいるの…?」


考え込むたつみの耳に、スマートフォンの通知音が響く。


「ん?…東郷さんから…?もしかして…っ!」


スマホを確認するとメッセージにはこう書かれていた。


『マスクド・ドラゴン。東郷だ。不死鳥の羽の重要情報を入手した。

至急…〇〇まで来てくれ』


「不死鳥の羽の情報…チャンスかも…!」


たつみは急いで立ち上がり、ベルトを付け『変身!』の掛け声と

ともに体が光り、マスク・ド・ドラゴンとして変身する。



――ー




「…東郷さんっ」


「来てくれたか…マスク・ド・ドラゴン」


身体能力の上がったたつみは、指定された場所に早急に向かう。

数十分かかる所を数分で到着すると、東郷がその場に立っていた。


マスク・ド・ドラゴンが目立ちたくないと言う理由から

廃墟同然のビルの一室で落ち合う。


「不死鳥の羽の情報を掴んだと」


「…あぁ、掴んださ…それもかなり、有力な…」


たつみの言葉に東郷は少し嬉しそう…だが、その中に苦しみを感じる。


「…東郷さん…どうしたんです…?」


「…我々…組織のうち1人が…スパイだった…」


「え…⁉」


たつみは、驚きのあまり素っ頓狂な声を上げ、その声は何もない一室に

響き渡った。








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