第十作戦:悪の組織『不死鳥の羽』始動!
サーカス活動が軌道に乗り、戦闘員が増え続ける中、不死鳥の羽は「本来の目的」
である世界征服に向けた動きを再開することにした。
蝶々は古びた地下アジトから新たなアジトに移動して
会議室で、幹部たちを集めて宣言した。
「今日から『不死鳥の羽』は本格的に動き出す!」
蝶々の宣言によって幹部たちは盛り上がりを見せる。
「ふふ♪本格始動ですわね!
この気持ち♥鳥子様と一緒に戦った以来ですわ♥」
パンドラが艶めかしく笑う。
「ピエラちゃんも戦うのだ!…でもまずは腹ごしらえをするのだ!
もぐもぐ♪」
ピエラはケン〇ッキーを頬張りながら拳を上げた。
「うちも調教ばっかで飽きてきたとこや!久しぶりに暴れるでぇ♪」
アンカーが尻尾をしならせた。
「グルゥゥ」
サンダーもやる気のようで久しぶりにアンカーの横に座っていた。
「ふふん♪アタシとアールの力を振う時が来たわね」
「…ボ ボクは…あまり気が乗らないよ…だって人間弱いから…
虫潰すみたいでつまらないよ…でも、ボスの言葉は絶対だし
頑張る…」
エルはない胸を張り、やる気だがアールはそこまで乗り気ではない。
可哀そうだということではなく、ただつまらないと
言った悪の怪人らしい理由だった。
「まずは、隣町を恐怖で支配する。
特に作戦はない…ただ派手に暴れろ…
…町を混乱の渦に陥れろ。
住民の生死は問わない。害がないと思えば何もしなくても良い…
逆に害を加えてくれば…分かるな?」蝶々が地図を指しながら説明していく。
「…ということで、各々…悪の組織の初仕事だ…行くぞ」蝶々が尋ねると、全員が「了解!」と意気込んだ。
そして、ついにその時が来た。
「町の中で、大きな爆発が起きたぞ!」と、通行人たちが慌てて走り回る。
「戦闘員、準備しろ!」
蝶々が手を上げると、戦闘員たちが「「「イィィッ‼‼」」」武器を持ち
奇声を上げながら町の中に散らばっていく。
「うわぁっ!町で黒い奴らが暴れているぞっ⁉」
「きゃぁぁっ‼」
「うふふ♪ほぉらっ♪」
パンドラが舞うように腰を振ると背中から伸びる触手からスライム性の粘液が発射される。
粘液が町に飛び散ると建物が徐々に溶けていく。
「行くのだっ。バグちゃんっ!」
ブーンっと音を立て体から離れていくバグが縦横無尽に飛び回り窓、木、車などを
破壊していく。
「ほらほら♪早うにげんと痛いでぇ♪」
長い尾を巧みに使い逃げ惑う人間たちをいたぶる。
いつもは細長い目が片目だけ開き、頬は紅潮している。
気絶したのか、それとも絶命したのかアンカーの攻撃で人間たちは動かなくなる。
「行くぜっ。エル!」
「…わ、わかったわよ…」
「分かってんのかっ…?いつもみたいにバカでかい声だして返事しろ!」
「もうっ…分かったから…大声…出さないでっ…」
エルとアールがお互いに寄りかかり離れると、2人の間に線上の光が走る。
その正体はワイヤーであり、人間目掛けてエルたちが走っていく。
ギュンっと変な音を立て銀色のワイヤーが赤く染まっていく。
やがてエルたちにすれ違われた人間たちの上半身はずれて絶命する。
「…うぇ…血ついた…き 汚いじゃない…」
「そんなの気にすんじゃねぇよっ。ヒャッハー!皆殺しだぁ♪
死ね死ねぇっ♪」
「中々…えぐい攻撃じゃないか」
残虐性が一番にないと思われていた2人に蝶々は感嘆の声を上げた。
町を支配できそうになった、その時――。
「待て、不死鳥の羽!あなたたちの悪事もここまでだ!」
高めの声とともに赤と金色のアーマーに身を包んだ巨乳のヒーロー「マスク・ド・ドラゴン」が突然現れた。
「な、なんなの、あの派手な人!」住民たちが驚くと、マスクド・ドラゴンは力強く拳を突き出す。
「正義の名のもとに!お前たちの悪事を許さない!」
「ヒーローだっ」「ヒーローっ」
今いる存在が自分たちを助けてくれるヒーローだと分かると歓声の声を上げる。




