花風
掲載日:2024/04/03
春をゆく仄かな
香りの花風は
校庭に吹いていた。
四月の始め頃。
入学したばかりの
落ち着かないクラスで、
生まれる前からの
夢の君を見つけたよ。
晴れていたのか、
雲っていたのか
はっきりしなんだけど、
君だけ鮮やかに。
お下げ髪の姿が
背筋を伸ばしてた。
花風、ほろ苦く、
捉えどころもなく、
校舎のそこかしこの、
君の気配になり。
丸刈りの頭の
色白の少年が
生まれて初めての
臆病な恋をした。
朧げな季節、
震えて咲くのは、
桜か溢れる笑顔か、
胸の奥を熱くした。
楽しそうにおしゃべり、
八重歯が覗いてた。
話しかけるこども、
手紙を書くことも、
何にもないまま、
三度目の春になり。
頼りない思い出、
叱られそうな気持ち、
それでも君だけを
追いかけて受験した。
晴れていたのを
覚えているよ。
君と同じ高校に
通えて嬉しくて。
大人になる間も
花風に吹かれてた。




