006 支えの盾
支えの盾、正式名称シールド+2。
この名前を聞いてピンとくる人が、レトロゲー好きの中には一定数いるだろう。古典的ダンジョンRPG「ウィザードリィ」に登場するアイテムで、通常の大型盾より防御力が二段階高い逸品だ。
が、この盾を有名にしたのは性能ではない。もっと強い守りの盾ことシールド+3があるからだ。知名度の理由、それはひとえに「むっちゃレアなアイテムだから」にほかならない。
一作めの舞台、魔法使いワードナが立て籠る全十階のダンジョンでは、たしか地下六階から八階でしか手に入らなかった(このアイテムが入っている宝箱を落とすモンスターがここにしかいない)はずだ。
しかしこのゲーム、ご存じの方も多かろうが普通にプレイするならエレベーターで一階から四階へ、もうひとつのエレベーターで四階から九階へ、さらに九階のエレベーター出口からわずか四歩のところにあるシュート(滑り台。下へ一方通行の階段のようなもの)で最下層に行くのがセオリー。つまりこのアイテムが手に入る階には、そもそも行かないのである。
さらに、「アイテムコンプにはこだわらん、支えの盾を探すヒマがあったら守りの盾を狙って最下層で狩るわ」というプレイヤーも多い。幻のアイテムになるのも当然だ。
あと聞いた話だが、ファミコン版だとデータは存在するけど、バグで絶対手に入らない(ホントかは知らない)らしい。筆者はPSのリルガミンサーガをプレイしたが、アイテム図鑑をコンプするために一つ入手したのみ。
さて、そんな超絶レアな支えの盾、二作めの舞台であるニルダ寺院のダンジョンでは腐るほど大量に手に入る。あの苦労はなんだったのか……。だがグチっていても始まらない。この出現率の違いはなんなのか考えてみよう。
結論からいうと、私はこの盾はニルダ寺院の僧兵および神官戦士に支給されるものではないかと思っている。だから当然、本拠地のニルダ寺院には大量に保管してあったのだ。ワードナのダンジョンには、略奪などによって入手したものが、ごく少数流入しているに過ぎないのだろう。
そういえばリルガミンサーガのアイテム図鑑に表示されるグラフィックだと、この盾はなんとなくドラゴンの顔を模しているように見えなくもない。リルガミンの守護神とされる聖なる竜ル・ケブレス(正式にはエル・ケブレスらしい)と思われ、ここも考察の余地がありそうだ。
ちなみに、どんな盾でもファミコン版のシナリオ1だとまったくの無意味。バグのため防具を装備しても防御力が上がらないからだ。もっとも、受けるダメージ量は、バグのないPS版よりファミコン版のほうが一般的なRPGに近いという声があるのは皮肉なものだが。