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034 ドラゴンのお肉を食べた~い!

 私は執筆の際、いろんな本を参考にしている。そのひとつが「水滸伝」なのだが、岩波少年文庫版を読んでいて、ふと気になることがあった。なんかこいつら、やたら牛肉を食べてるのだ。


 ちょい待ち。昔は牛って農業や物資の運搬に使うから、あんまり食用にはしなかったんじゃなかったっけ? 糞も堆肥や燃料になるし。んでもって、多産で雑食性の豚が多かったはず。なのに豚肉が出てきたのは魯智深が出家するきっかけになった事件のときくらい。そういやコーエーの「天命の誓い」だと狩猟コマンドで狩ってたのは猪だったなぁ。


 お前らそんなに牛肉が好きか?


 豚肉、美味しいじゃん。いや、水滸伝も多くの翻訳家が携わっているから、本によっては豚肉かもしれないけど。


 やはり天下に名を轟かせる豪傑、いっぱしの好漢ともなれば、それなりにお高い肉でないと格好がつかないのだろうか。となると、ファンタジー世界の勇者とかも、事情は似たようなものだったりする?


 ファンタジー世界で該当するのは……やはりドラゴンだろう。こいつは高級食材とされている作品が(私のも含めて)多い気がする。入手困難なこともあるが、ワニは美味らしいから似たようなものか。


 中世では、牛でさえ農耕用の家畜が死んだときとか、冬に餌がなくて仕方なく屠殺するときくらいしか食べなかった地方も多いと聞く。となればドラゴンは、おそらく普通の村人が口にする機会は一生なかったと思う。よほど魔法文明が発展してる世界でない限り、安全性とコストの両面で養殖は不可能だろうし。


 そんなドラゴン肉だが、国や地方によって扱いが違ったりすると、作品の世界に変化が出て面白いかもしれない。たとえば他の食料確保が困難、つまり身分に関係なくドラゴンを食べざるをえない地方なら、原始人のマンモス狩りよろしく、村をあげて討伐に行くはずだ。


 中には故郷を捨て、傭兵や冒険者になる者もいるだろう。きっとドラゴン狩りに特化した装備や技術、知識を持っているに違いない。あるいはドラゴンが大量発生したとき、一族を挙げ切り札として招かれることも考えられる。

 竜殺しの部族だ。これで話をひとつ作れるだろうか。


 逆に、一般人がドラゴンを食べることが許されない地方があってもいい。理由としては、


 ①ヒンドゥー教の牛のように聖獣扱い。逆に邪悪の象徴とされており竜を食べることは悪魔に魂を売ることと(邪教の儀式で生贄にされてそう)される。


 ②食べることは竜の力を取り込む儀式であり、その個体を直接討伐した戦士だけが口にしてよい。サトクリフの小説で狼を狩ってたのに似てますな。あれは肉より毛皮目当てだったけど。


 ③魔獣の王たる竜を食べることは、人がその上に立つことを意味するなど、何らかの儀礼的な制約がある。よって王侯貴族だけが食べ、また爵位によって料理および衣装の素材に使用していいドラゴンの種類が違う。


 なんてのが無難か。


 ところで食べるためには、当たり前だが調理、少なくとも解体しないといけない。剣も矢もはね返す鱗に覆われ、その下にはレザーアーマーより硬いであろう皮革をもつドラゴン。どんな包丁を使うのだろう。三国志の華雄かゆうは呂布に「鶏を割くにいずくんぞ牛刀を用いん」と言ったが、ドラゴン用のに比べたら、どっちも果物ナイフと大差ないだろうなあ。


 もしかしたら、あの華雄や呂布より強い料理人がいたりするかもしれない。ファンタジー世界の住人の超人ぶりには、今更ながら驚かされっぱなしである。

鶏を割くにいずくんぞ牛刀を用いん


意訳すると「ザコを相手にするのに、最強の武将である呂布どのが出るまでもない」という意味。

ちなみにコーエーのゲームだと、知力や裏切りやすさの関係から、呂布より華雄のほうが役に立つこともある。特に2では、義理が51以下の武将は忠誠100でも寝返るため、一騎討ちしか使い途がない。

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