表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/78

029 ファンタジー世界の城攻め事情

 王様やラスボスはお城にいることが多い。なので勇者の単身突入から大軍による攻城戦まで、城は決戦の場となる。今回はファンタジー世界の城攻め事情を考察してみよう。


 物語の舞台となる時代はだいたい中世。地球における当時の城攻めは、おおよそ兵糧攻め、力攻め、寝返り工作の三種類だ。

 三番めは省く。見返りによる懐柔、脅迫による強要などによって味方に引き込むのに、現実世界も異世界も違いはない。


 最もポピュラーな兵糧攻め。なろう小説にはよく収納魔法が出てくるので、城内には大量の食料がありそうな気がするが、これは案外、リアルと同様に効果的な戦法だと思う。


 当たり前だが、備蓄に回せるのは余った分だけだ。


 農業生産力が中世と同等なら、日々の暮らしで消費した分、種籾として残しておく分を引いたら、献上品が集まる王都、防衛上の重要拠点、モンスターの肉が豊富に獲れる地方でもない限り、城内の食料に余裕はないだろう。事情(モンスターによる被害、王への貢ぎ物など)によっては、現実の城より備蓄が少ないこともありうる。


 その割には、ゲームでは攻守とも兵糧攻めの機会がない。メタ的には敵味方どっちにせよ、ひたすら待つのはプレイヤーが退屈するからだろうが、作中の理由だと、功名の機を逃したくないという名声欲、攻める側も時間や物資に余裕がない、あたりか。敵の援軍が来たら籠城兵力と挟み撃ちにされるし、勇者が略奪をするわけにもいくまいし。


 ただ、飲料水の供給を断つ戦法は、水が豊富な地域では収納魔法で大量に確保しているため、まず通用しないと考えてよい。乾燥地帯でも、城内に水属性の魔法使いがいれば同様だ。この人物は攻撃か寝返り工作か、いずれにせよ真っ先に狙われるだろう。


 続いて力攻め。こっそり忍び込んで魔王の寝首をかくわけでなし、勇者パーティが突入するのもこれに含む。


 史実における攻城兵器のうち、投石機はあまり使えないと思う。

 実はこれ、城壁を砕くほどの威力はないそうだ。動物の死骸などを投げ入れ、疫病の蔓延、および焼却処分による燃料の消耗を狙うものらしい。私が昔観た映画にも、犬の腐乱死体が井戸に入って悲惨なことになった城があった。


 それも治癒魔法や火炎魔法で対処できるなら、本格的に存在意義が失われる(世界によっては投石機自体がない?)。現代知識をもつ主人公なら投石機を作らせ、サーカスの人間大砲よろしく単身で城壁を飛び越えて突入するイカレた奴がいるかも。


 逆に破城槌は、身体強化の魔法があり、敵が城門にかけているであろう防御魔法を上回れれば有効だろう。


 飛行モンスターがいれば空から突入するなり火炎瓶を落とすなりできそうだが、十五話で紹介した「ロイヤルブラッド」だと、ワイバーンやガーゴイルも城壁は越えられなかった。彼らが嫌う香料をつけており、近づくと気絶するらしい。

 ゲームによくある、エンカウント率を下げるアレだ。きっと籠城する時だけベタベタ塗ってるに違いない。見張りの兵士はキツいだろうなあ。でもって戦が終わったら大掃除。特別手当は出ますか?


 結局、片方だけが魔法を使える状況でない限り、攻撃側も籠城側も魔法で応戦してイタチごっこになるので、モブ軍団による城攻めの難度はリアルとそう変わらないのでは? という結論に至ってしまう。

 面白味のないことだが、守備隊だって魔法による攻撃を防ぐ工夫くらいしている。結界を張るなり、防御に長けた魔法使いを配置しておくなり。


 そう思うと、勇者パーティが魔王の首だけを狙って突入するのは合理的なのかもしれない。むしろ、それができるからこそ勇者なのであろう。

え? タンスと壺? まあ住人を直接攻撃はしてないし……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ