025 西洋の竜と東洋の龍
最強クラスのモンスターかつ、邪悪の象徴とされる存在、ドラゴン。しかしこれは舞台がヨーロッパ風だからで、だいたい聖ゲオルギウスやベーオウルフに退治されたやつらのせいだ。東洋に目を転ずれば、ドラゴンは神の化身など超越的な存在とされている。前者を竜、後者を龍と表記して区別することが多いだろうか。
これは竜からすれば風評被害。たしかに邪悪なドラゴンも多いが、善良な者もいるのだから。手元の資料によると……
黒竜
狂暴で邪悪。酸の息を吐く。湿地帯に生息。以下簡略して書く。
青
温厚だが邪悪。稲妻。砂漠など乾燥地帯。
真鍮
狂暴だが善良。催眠ガス。砂漠の洞穴。
青銅
温厚で善良。稲妻および戦意を失わせる(脳に作用する物質か?)ガス。海辺の洞穴。
クロマティックドラゴン
頭が五つあり、それぞれ白、黒、緑、青、赤。本体の色は記述なし。各色の竜と同じブレス。温厚だが邪悪。メソポタミア神話のティアマットとも。
銅
狂暴だが善良。酸と相手の動きを鈍らせるガス。岩山。
金
温厚で善良。炎と塩素ガス。高山。中国の龍とも。
緑
温厚だが邪悪。塩素ガス。森林。
白金
温厚で善良。冷気や超音波、熱線など複数種。イスラム教のバハムートとも。
赤
狂暴で邪悪。炎。岩山の洞窟。
銀
温厚で善良。冷凍ガスと麻痺ガス。高山。
白
狂暴で邪悪。冷凍ガス。寒冷地。
(早川浩著「RPG幻想辞典」より)
ここで東洋の龍を見てみよう。古いアニメのOPに出てくるやつは緑。グリーンの亜種だろうか。なぜ温厚とはいえ邪悪なはずなのに、子供を振り落としもせず飛んでいる?
竜は鱗の色を問わず財宝集めが好きらしい。が、巨大な爪をもつ手では金貨を鋳造したり武具を作ったりはできない。なので人間とかいう奴ら、ちょろちょろウザいけどいないと困る。
人間が蜜蜂を駆除しないのと同じだ。刺されると痛いけど蜂蜜は欲しい。言い方は悪いが、蜜蜂をスズメバチから守るような感覚で人間を守っていたら、勝手に神の化身にされただけなのかも。
まあいい、むしろ好都合。敵に回すより楽だし、勘違いさせておけば向こうから食い物と宝を持ってくる。不埒な行いをしたらブレスか尻尾で一発くらわせ、でんぐり返してこの世からバイバイさせてやるだけのことだ……
仮にこうなら、善悪を分けるのは「人間を襲って財宝を奪うのと、手なずけて持ってこさせるのと、どちらが効率的か」なのではなかろうか? 生息地から、その地域において有効な手段を推測してみる価値もありそうだ。人口の増加率、財宝の生産力、輸送ルートなど。
砂漠に生息するブルーやブラスにしても、壊滅させてもすぐ人が来るオアシスの近くなら襲撃派の個体が、細々と暮らさざるを得ない辺境なら守護派の個体がいるのかもしれない。
そういえばナムコのゲーム「ドラゴンスピリット」ではブルードラゴンは聖なる竜だし、「ドルアーガの塔」のクォックスはグリーンだが操られていただけで温厚らしい。生息地が違ったら彼らも邪悪だったのだろうか。
あなたが作者なら、同一作品の中に善良なドラゴンと邪悪な同種を混在させてみるのも一興だろう。竜同士の戦いにしてもよし、竜が人間との共存を模索して苦悩するシリアス展開もいい。お宝目当てで人間に知識を教えたら勝手に崇められる勘違い系もあれば、複数種の竜に変身する能力を持つヒロインがそのたび性格が変わって主人公を振り回す話も書けそうだ。
なお資料によって各種設定が違うものも多い。ファンタジーの代名詞的な種でありながら、謎の多い存在がドラゴンなのだ。なので今回紹介した記述は、あくまでも一例にすぎないとお断りしておく。
世界は広い。中には球場に生息するドラゴンもいるのである。弱いけど。




