024 この値段の差は何なのボルタックさん
RPGでは、アイテムの値段が不可解なことは珍しくない。とはいえ、いくらなんでもこの価格設定はなんなの? と言いたくなるものもある。このエッセイでも度々紹介してきたウィザードリィだ。ボルタック商店で扱っている武器と防具のうち、標準品の価格を見ていこう。
剣 25ゴールド
短剣 15
メイス 30
フレイル 150
杖 10
ダガー 5
ローブ 15
革鎧 50
鎖かたびら 90
胸当て 200
鎧 750
小型の盾 20
大型の盾 40
兜 100
銅の籠手 6000
…………。
籠手だけ高すぎ! 防御力はローブと同じなのに。小型の盾より弱くてこの値段、まさにボッタクル商店だ。しかしここで考察を投げ出してはならない。私は○ヴァには乗らないが逃げちゃダメだ。なんとか理由をつけないといけないのである。
結論から言うと、安価な品は戦の跡地で拾ってきたものではないだろうか。そうとでも思わねばこの価格差は理解できない。
ご存じのように、わが国の戦国時代において合戦後の拾い物は自由だった。ただでさえ農民は田畑を荒らされ、作物を供出させられ、雑兵として駆り出されと、戦のたびに踏んだり蹴ったり。せめてこのくらいの見返りがないと一揆待ったなしだろう。その辺の事情は、物語の舞台となるリルガミンでも変わるまい。
シナリオ1の場合、プレイヤーが暮らす都市を治めるトレボー王は、飽くなき征服欲から「狂王」と呼ばれる戦好きである。拾い物の機会にはこと欠かなかったはずだ。
これなら、刃を磨ぐ手間からメイスより高価なはずの剣が安価な理由も察しがつく。既に刃こぼれしてて値が落ちているのだ。フレイルが妙に高価なのは、武器のうちこれだけは新品なのかもしれない。
防具の値段もだ。雑兵の中には鎧の類を着ていない者も多かった、少なくとも武器よりは普及率が低かったはずだ。当然拾える数も限られ、それが値段に反映されているのだろう。鎧を着たまま武器や盾だけ放り出して逃げた者もいたろうし。
ここで籠手の値段について考えてみよう。
本によれば、中世ヨーロッパにおいて籠手は防具であると同時におしゃれアイテムでもあり、普段から装備することもあったという。となれば装飾は贅を尽くしたものになり、職人の人件費なども高額にならざるを得ない。
要はブランド品だ。材質が鉄でなく、柔らかい銅なのも加工しやすいからだろう。きっとメッキされてピカピカに違いない。となると不可解なのは、飾りけのない安価な籠手がない理由だ。
これは推測の域を出ないが、革手袋などをはめてはいるがゲームでは防具扱いされていないか、トレボー王が装飾品としての防具を都市の特産品として売り出そうとしていて、安価な籠手を売るとボルタック商店が睨まれるのかもしれない。
鎧や盾は命に直結するから安価なジャンク品の流通を認めざるを得ないが、そうでない籠手は、上が売りたい装飾用のものしか販売許可が下りないのだ。
とはいえ、やはりこの値段は異常と言わざるを得ない。ここまでくるとトレボー王が籠手職人に肩入れ、パトロン化している可能性もありそうだ。きっと普段からファッションとして装備しているのだろう。だからリルガミンではおしゃれな籠手がブームで価格が高騰しているのかも。
なんにせよ、敵にもっとも接近する腕部は被弾率も高い。私の作ったキャラたちには、籠手に傷がつくのを嫌がって攻撃をためらう愚か者はいないと思いたいものである。
自分で書いといてなんだが、かなり苦しいこじつけではある。ダンジョンで獲得する剣だって中古品には違いないのだから。野ざらしと宝箱で保管されていた品の違いだろうか?




