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018 ファンタジー世界の城に見る女性の地位

 影響を与えたのはアーサー王かドラクエか、とかく中世ヨーロッパ風の世界が多いファンタジー小説。当然、お城や町もそちらの様式で描かれるわけだが、私はこれらを見てよく、作中の世界は現実の中世に比べて女性の社会的地位や発言力が強いのかなぁ……などと思ったりする。


 以前読んだ本に、男の城と女の城という表現が使われていたのを記憶している。城主の性別ではなく、男女それぞれが好む傾向という意味だ。


 大雑把に言うと男の城は武骨だ。くろがねかは知らないが、嵐吹きすさび雷鳴轟く荒野の中、空にそびえる難攻不落の軍事拠点。厚く高い壁の上には守備兵が常駐し、投石機や大型の弩がものものしく設置されている。無敵の力は僕らのために!

 対照的に、女の城は優雅なものらしい。緑豊かな森のそば、湖の上に建ってて白鳥がいたりするとなおいい。むろん野蛮な暴力を連想させる武器は倉庫の中ですわ。開けよお城、朝日が昇る。お姫様のお出かけだ。いやあの人は男装してるけど。


 前者が敵を迎え撃つ要塞なのに対して、後者は王子様とダンスする宮殿なのだ。もっとも、イケメン王子様のハートを賭けた舞踏会は、女性にとっては立派な戦なのかもしれないが……


 さて以上を頭に入れてから、ファンタジー漫画やアニメのお城を見てみよう。大抵は滑らかな純白の壁で、カラフルな屋根の尖塔があり、それこそ湖の上に建っててメルヘンチック全開だったりしないだろうか。

 低コストで同等の防御力が得られるのは、飾り気を省いた男の城のはずだ。なのに漫画やアニメでは女の城がやたらと多い。なぜゆえ?


 ①前述のとおり女性の発言権が強い。つまり王様が築城を決めたら、后やら姫やらが「殺伐としたお城はイヤ! かわいいデザインにして!」と要求した。

 ②はじめから要塞ではなく宮殿として造られている。モンスターや魔王という共通の敵がいるため人間同士で戦になることは意外と少なく、国力や文化をアピールするため優美さが第一。

 ③物語に登場するのがたまたまそういう城なだけ。辺境の小規模な砦、軍事拠点としての城には飾り気がない実用性一点張りのも普通にある。


 パッと思いつくのはこんなところか。作品ごとに時代背景や技術と文化の水準、築城する国王の経済力、軍事力や戦争勃発の頻度はまちまちなので、一概にこうとは言えないが。


 でも考えてみたら、ファンタジー世界の女性の地位が現実の中世より高いのは当然かもしれない。魔法というものがあるため、武力において男性との差を埋める、もしくは覆すことが容易だからだ。


 いささか語弊のある表現をお許し願いたい。


 現実の世界において長らく女性の社会的地位が低かった(なんなら今でも十分とは言いがたい)のは、女性が身体能力、物理的な暴力行使能力において男性に劣ることと無縁ではなかろう。

 だがファンタジー世界では男より強いヒロインも多い。ところ変わればというが、歴史的に社会構造が根本から違う可能性は決して低くないのだ。


 建国したのが魔法使いの女王だったりすれば、彼女の趣味が城に反映されても何らおかしくない。そして一旦モデルケースができれば、後続がそれを模倣するのも自然だろう。


 文化とは歴史の蓄積だ。漫画やアニメは深く考えずダラダラ観るのも癒しだが、たまにはその世界の過去に想いを馳せてみるのもオツなものである。

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