表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
通常モードは暴走列車~悪役って誰が決めるんでしょう?  作者: 楽々ふぉん
第一章 第二部 可及的速やかに
10/13

悪女は女神にもなる

 馬車で連れて行かれた場所は、皇太子がいる所、つまりお城! 固定資産税が半端ないだろうと頭ではそろばんを弾いていた。

 

「イエニス嬢、しばらく不便とは思うが、私の居住区の離れを提供するので、そこで体を休めてくれ」


「滅相もありません。

 私、仕事もありますし、街の宿を借りた方が本当の意味で体も休まりますわ」


 前世の記憶がある以上、こんなお堅い所で一日たりとも過ごす自信が無かった。

 だって、前世は庶民ですもの。


「ふむ、仕事があったな」


「ガイウス、ヒバリが丘亭に行ってイリスが体調不良で休む事と、その間店を休業させその間の補償をすると伝えろ」


 え? 店まで休業させるって、どう言う事かしら。


「畏まりました。

 殿下の命では無く、商業ギルドの飲食部門から通達させましょう。

 此度の食中毒騒動がある事で、飲食店への営業を控えるようにと」


 女将さん達が怖いのは稼ぎや補償じゃなくて、お客が離れてしまう事よ!


「お待ちください。

 それは余りにも身勝手ではございません事?

 商売は信用で出来ているのです。

 長期の休みになれば、その店で何か不都合なことが起きたと人は想像します。

 そうなれば、不都合な店に行くより、このような状況でも開店している店に行くのがお客の心理ですわ」


 やはり、皇太子殿下はボンボンですわね。


「もうちょっと自分の命を大事にした方が良いぞ、イエニス嬢。

 この騒動で確実に狙って来る。

 店がどうのと言ってる場合では無いだろう」


「はい? 何故私の話になるのでしょう?

 正直、侯爵家等、どうでも良いのですが、あの偽家族に財産を取られるのが癪に障るだけですわ。

 この先、ゆっくり生きて楽しい事をたくさん出来れば、爵位んなんてお返ししますのに。

 それにお店は私の物ではなく、女将さん達が頑張って築き上げたいわばお城と同じでございます。

 それを簡単に休業しろなどと、傲慢ではございませんが」


 本心よ。

 不敬だと言われ様とも、この程度で私が処刑されるのであれば、この先生きて行くのも難しいでしょうし。

 たくさんの夢も見ませんわ。

 贅沢もしたくありませんわ。

 でも、ちゃんと安心して眠れる場所が欲しいんですの。

 その為にはこの世界に個人事業主としての私を確立する、それが目標ですのよ。


「それは難しいな。

 イエニス嬢は本日をもって私の婚約者に内定した。

 義妹の聖女ではなく、侯爵家の嫡子であるイエニス嬢にな」


「はぁ?!」


「うん、その方がイリスらしくていいな。

 私はそっちの方が好きだ」


「コホン、殿下、嫡子とは言え、これだけ悪評がたった私では、婚約者にはいささか問題があり過ぎるかと思いますが」


 皇太子殿下は楽しそうに声を上げて笑うと、私が悪女だと義妹を名指しすれば悪女なのだと。


「えぇ? まぁ実際悪女ですわ。

 ですが、そう簡単に民衆が納得するはずございません」


「ヒバリが丘亭のイリスは、飲食店業界の女神と言われている。

 聖女より女神の方が格上であろう?」


 そりゃ、ちょっと改革はしましたけど、それって自営をするための足掛かりで、女神とか言われるようなものじゃなくてよ。


「この国の識字率が低い事も、それを勉強させる意欲の元となるあのメニュー表に伝票の仕組み、分かるか?

 あれらを理解出来れば、自分たちでも商売が出来ると思わせたのだ。

 しかも、難しく考える必要のない形で。

 単語と絵を組み合わせたあのメニューがそうさせたんだ。

 立派な女神の恩恵であろう」


 そう仕立ててしまおうとしてるくせに。


 いつの間にか皇太子殿下のペースになっていましたわ。

 さすが一国の王になる方ですわね。

 カリスマ性がありますし、ねずみ講をやらせたら、あっという間に稼いでしまいそうですわ。


「だから、その仕組みの提案をイリス=イエニス嬢と言う事を暴露してしまうのさ。

 既に貴族の間でも話題になっているからな」


 こうやって悪女だの、聖女だのが出来上がっていくのね。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ