いざ、魔王城!
翌日。私は緊張のあまりとんでもなく早く目が覚めました。普段であればお母さんが起こしに来る直前まで夢から覚めない私ですが、それでも今日は家族で一番早く目が覚めました。リビングに降りたらばったり遭遇したアロエにとても驚かれました。熱があるんじゃないかと体調を心配されたほどです。
結局誰にも昨日のことを話せていません。だって怖いじゃないですか。魔王様に呼び出されるなんて、一体私は何をやらかしてしまったんでしょう。
「おはよう。今日は随分と早起きだね、ルナ。」
「はい……。」
「あら、珍しいこともあるものね。こんな時間にルナがもう起きてるなんて。」
「はい……。」
「あれ?最近家に帰ってなかったけど、ルナって早起きになったの?」
「はい……。」
朝ごはんもほとんど食道を通らず、ぼんやりした頭のまま家を出ました。そうだ、ギルドに行く前に一昨日ソフィアさんと一緒に行った洋服屋さんに行かないと。昨日跡形もなく消し飛ばしてしまった洋服と同じものを買っておかないとソフィアさんに余計な心配をさせてしまいます。
がっつり普段着のまま家を出ようとしたのでお母さんに心配されましたが、訳を話したらお金をくれたのでお金の心配をする必要はなさそうです。それにへそくり、というか貯金を切り崩す必要もなかったのでうれしいですね。ちなみにお父さんは仕事に行ってしまったそうです。一体何をしているんでしょうか?
昨日の今日でまったく同じものを買ったので店員さんには変なものを見る目で見られました。……別に同じものだけを着ててもいいじゃないですか。そんなにファッションで重要ですか?
さて、そんなことはさておき冒険者ギルドに向かいますか。魔王様の使いが待っているんですもんね。……正直死ぬほど行きたくないですが、魔王様との謁見となれば断ることはできませんので行くしかないんですよね。いえ、別に家に魔王様からの手紙が来たとかだったらまだ緊張はしないです。でもダンジョンのラスボス戦の後にその話を伺ったんですよ?単純に考えれば裏ボスが出てきた、って思ってしまうじゃないですか。
重い足を引きずるようにギルドに向かっていましたが、こういう時に限ってすぐについてしまうんですよね。私の目の前にはギルドのガラス扉が立ちふさがっています。……入りますか。
ゆっくりギルドに入るとまだ朝の早い時間だったせいか、とても混雑しているし見たこともない人がたくさんいます。それに半分くらいは子供?あのスタンピードの時少しだけ面倒を見た4人と同じくらいの年の子供が多いですね。……ああ、採取とかの初心者向けの依頼は確か早いもの勝ちでしたもんね。私は経験がないので分かりませんが。
……あ、ソフィアさんがいません。いつもいるブースは空です。……ええ?どうしましょうか。受付嬢の誰かに呼んでもらうのもありですけど、でも今はとても混雑していますからきっと迷惑になってしまいます。どうしましょう……。
「ん?ルナじゃないか。いいところに来た。」
路頭に迷いかけていた私に声をかける人が一人、その正体はギルマスでした。かつかつとこちらに近づいてきて手を取ってきました。
「お前を呼んでいる人がいる。魔王城からの使いだそうだ。ソフィアと一緒に執務室で待ってもらっているから、来てもらうぞ。」
「はい。分かりました。」
そういうことですか。だからソフィアさんがいなかったんですね。まあそういうことなら行くしかないですよね。
ギルマスの後を追って転移の魔法陣の上に乗るとすぐに最上階まで移動しました。そしてそのままギルド長室の扉の前につきました。ギルマスが軽くノックをしてから扉を開けると、部屋の中にはソフィアさんと役人のような恰好をした人が数人座っています。
「あなたがルナさんですね。先日、魔王様から直々に話を聞いていると伺っています。なので準備ができ次第、すぐに魔王城に向かいます。」
「かまいませんよ。準備は出来ています。」
「おや、ではすぐにでも参りましょう。魔王様がお待ちです。」
「ちょっと待ってください。私も同行してもいいでしょうか?ルナさんは魔王様との謁見は初めてだと聞いていますので一人だと心細いかと。」
「……まあいいでしょう。氷爆の騎士、あなたであれば問題はありません。では行きますよ。」
そのままソフィアさん達と一緒にギルドを出ると、すぐに魔動車が飛んできてその扉が開きました。中は十分な広さがあって向かい合うように席があります。だいたい6人くらい乗れるくらいの広さでしょうか。
「さあ乗ってください。これに乗れば5分とかからずに魔王城に到着します。」
……もうちょっとかかってくれてもいいんですよ?
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