あ、あなたは……!
私自身の魔法で吹っ飛ばした私の体の修復が完了した時にはもうドラゴンの姿がなくなっていました。天井の赤い魔法陣も消え、部屋の中は淡い光に包まれています。そして部屋の奥にある扉がゆっくりと開いていきます。
月もなくなり、私の体に起こっていた回帰が収まっていきます。髪が短くなっていき、背中から伸びていた翼がゆっくりと体の中に戻っていきます。それと同時に飛行能力も失い、空中に浮いていた私の体が地面に近づいていきます。そして足が地面に着いたその時に完全に回帰が収まり元の姿に戻りました。
そういえば皆さんは無事でしょうか?大丈夫だとは思いますが、それでも一応確認です。なにせまだ爆発せいで部屋の中は煙が充満していますからまだ直接確認ができませんから。
「皆さん、大丈夫ですか?」
「……うん。僕達は一応大丈夫。ルナちゃんも、大丈夫そうだね。」
「はい、……アカリさんは起きていますか?」
「え?いや、まだ起きてないよ。どうしたの?」
「いえ、できれば起こしてもらってもいいですか?っていうか起こしてください。そしてリュウマさんは近づかないでください。」
「えっ!?なん……。」
「いいですから。早く。もしリュウマさんとイゾウさんが近づいてきたら即座に魔法を撃ちますから。」
「わ、わかったよ。ちょっと待ってて!」
そりゃ、そうでしょう!今、裸なんですよ、私!
さっきまでは戦闘中でちょっと気分がハイになっていたので気にもしませんでしたが、今はもう違います。落ち着いてきたせいで自分のことが客観視できてしまったんですよ。そうなったらもう、恥ずかしくて……!
「ルナちゃん!どうした、って……ああ、そういうことか。まったくしょうがないな。替えの服とか持ってないのか?」
「持ってませんよ……。そもそもこんなになるなんて想像できませんでしたし。」
「まあ、そのために私らも一緒に来てたんだけどな。しょうがないから、私の予備の服を貸してやる。」
「あ、ありがとうございます。」
「とはいえ、いろんなところが大きいかもしれないからその分の調節もしてやろう。」
アカリさんは私の体を見ながらそんなことを言ってきます。
……う、うるさいですね!まだ私は育ちざかりなんですよ!まだ14歳なんですよ!それに長命種だから成長もゆっくりなんですよ!まだ身長も140代ですし、……他の部分の成長もまだまだなんです!……ふぅふぅ……。
「うん、よく似合ってる。私にはもう着れないが、ルナちゃんならぴったりだ。それに白い髪も存外よく似合っている。うんうん。」
「本当にな。しかも誰に頼んでも着てくれないんだよな。歩きずらいとか、自分で着るのは面倒くさいとか。」
「そうなんだよね。憧れてくれる人はたくさんいるんだけど、実際着て、戦うのはちょっと……、みたいな人が多いんだよね。慣れれば簡単に着れるのに。」
私がアカリさんに着付けてもらったあと皆さんの前に出ると、そんなことを口々に言われました。確か前世でも和服って普段着としては使われていませんでしたもんね。
「ふむ、確かに似合っているな。私もいつかは着てみたいとは思っていたんだがな。なかなかその機会はないようだ。」
……ッ!?何ですか、この気配!?突然現れて、そしてとてつもなく重圧を放ってきました。一体誰が!?
コツ、コツと扉の奥から何者かが近づいてきます。その一歩が近づいてくるたびに感じる圧力が大きくなってきます。
「まさかっ!?」
「いや、でもこれほどまでの重圧は!」
「間違いない。それにこんなことをできるのはあの方だけだ。」
そして扉の奥からその声の主の姿が見えてきました。おそらく女性、年のころは20代後半くらいですが、その顔を覆い隠すようにフードのようなものをかぶっています。
「久しいな。ムサシの里の刀使い。Aランクに昇格した時にあって以来か。息災そうで何よりだ。」
「こちらこそお変わりがなさそうで何よりです。魔王様。」
はっ!?まおうさま?えっ!?今魔王様って言いました?もしかして臣下の礼をとった方がいいですか?
「魔王様、本日はこのような場所までいかがいたしましたか?」
「うむ。今日はお前達ではない。その隣の娘に要があってきた。」
え!?私ですか?私なんかに魔王様が?
「そうだ。だが、このダンジョンを完全攻略してすぐの少女に話をするのも酷だろう。だから、明日ギルドに使いを出すから魔王城に来るといい。その時に話すとしよう。」
それだけ告げると魔王様は姿をふっと消してしまいました。
「……なにごと?」
本当に。
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