決着、です。
天井付近から雷の権化のようなドラゴンが周囲に雷をまき散らしながら私めがけて落ちてきます。周囲に放たれている雷一条をとっても、その威力は私が普段使っている攻撃力が高い魔法と同程度、いやそれよりも強いですね。
……これは、本当にまずいです。私だけなら大丈夫、と言いたいところですが先ほどのあのドラゴンの言葉からしていくら完全な不死の特性を持つ今の私でも、アレを食らったらいけないのでしょう。いえ、本能でも理性でもわかってはいるんですけどね。
あの密度の雷を食らったら、まず体が感電して動けなくなるでしょう。それだけでなくおそらく火傷も全身に絶えず負うことになります。あの規模の魔法がすぐに収まってくれるとも思えませんし。少なくともさっき放っていたあの訳の分からない魔法よりも続くのでしょう。それなのにおそらく不可避。
ですが、リュウマさんがいるので私は私のことだけを考えていればいいのは不幸中の幸いと言えるでしょうか。きっとあの時私を守ってくれたのと同じものを使ってあの二人を守るはずです。
……なら、まあ取れる手段なんて一つしかありませんか。
「ぎゃはは!これで終わりだ!!!!」
私の悪あがきとも思える魔法を放った直後、ドラゴンが地面に衝突しました。その瞬間、まず視界が真っ白に染まりました。そして私の全身が雷に貫かれ、体が文字通りバラバラになったのか体の感覚がなくなりましたが、すぐに一瞬で修復されます。
そして再び体が雷に貫かれて体が粉々にされて、すぐに修復されて……。一瞬で壊されるせいなのか、それとも吸血鬼自体が痛みをそこまで感じないせいなのかは分かりませんが、痛みはそれほどありません。ですが、体の感覚がなくなるというのは結構怖いです。しかも部分ではなく体全体がなくなるわけですから。ただ、意識だけがあって体が全く動かないです。体中の感覚が全くない分、金縛りよりもタチが悪いです。
破壊、修復、破壊、修復、破壊、修復……。たった数秒の間にも10回を軽く超える破壊と修復が繰り返されていきます。
……ああ、こんなこともあったような気がします。前世のことはもうほとんど思い出せませんが、でもほとんどこんな風に体を動かすこともなく、ただひたすら頭の中でだけ思考を巡らすなんていうことを。
……あれ?そういえば、私はあの世界でどういう風に生きていましたっけ?確か高校に通っていたはずです。その学校名は?場所は?先生の顔は?クラスの人数は?
私の家族は?……父は?母は?あの姉は?
……私の名前は一体なんでしたっけ?
そして何回体が破壊されたのか数えきれなくなってきた時、雷の嵐が止まりました。
「はぁ、はぁ……!さすがにこれは疲れるぜ……!だが、これで……!」
服は全て破れてしまっていますが、でもそれ以外は完全に無傷です。というよりは修復の方がはるかに速度が速かったということでしょうね。……またあのお店に行って同じものを買わないと。せっかくソフィアさんが選んでくれたんですから。
「……ようやく収まりましたか。……あはは、感謝しますよ。あなたのおかげで私は大事なことが、……生まれた時から感じていた違和感をようやく実感できました。そうです、私は一体誰なんでしょう?どうして生きるんでしょう?
……いえ、今はいいです。まずこの戦いを終わらせないといけません。十分彼岸花も色づきました。」
「……マジか、アレを食らって無傷……?いや、この気配!そういうことだったのか……!はは、ようやく合点がいったぜ!
見せてみろ!てめぇの切り札ってのを!」
「よく見ておくといいです。血属性魔法 虚血・彼岸花爛漫。」
私の魔法が発動した直後、地面で咲き乱れていた彼岸花が浮き上がりました。ゆっくりとシャボン玉のように上空にふわふわと浮き上がっていきます。
さっきまでほとんど感じられなかったリュウマさんたちの気配が突然現れました。おそらく私達を守ってくれたものを解除したのでしょう。申し訳ないですが、もうちょっと頑張ってもらいたいです。
「リュウマさん、まだしっかり守ってください。巻き込んでしまうかもしれません。」
私の声が聞こえたのか、またすっと気配が消えていきます。そしてまたほとんど感じられなくなった直後、空中に浮かんだ彼岸花の一つがドラゴンに軽く触れました。直後、彼岸花から花びらが輝き始めました。そして5秒もしない内に大爆発を起こしました。
「ぎゃっ!?……あー、いてぇ!いてぇぞ!とんでもねぇな、その魔法!体にじゃねぇ、魂に来るぜ!本当に久しぶりだぞ!まさかもう終わりじゃねえよな!?さあ、もっと楽しもうじゃねえか!」
「しょうがないですね。では、残り全部をあげます。今回はサービスですよ?」
「ぎゃはは!何を言ってやがる!どうせ全部俺様にぶつけるつもりのくせに!」
「それだけではありません。なんたって私の裸を見たんですから。」
「……ぎゃっはっは!マジか、マジかよ、おい。そんな堂々としておきながら外見の心配かよ!」
「そりゃそうですよ。いたいけな少女の裸を見たんですから。」
「参った!まさかこの戦いの最中にそこまでのことを言われるとはな!……いいぜ、どうせてめぇならいつかたどり着くだろうから教えてやる!俺様の本体を探せ!その時、てめぇの言うことを一つだけ聞いてやるよ!真祖の嬢ちゃん!」
「ルナです。真祖のお嬢ちゃんではなく、ルナ=ブラレストという名前があります。」
「……ルナだな。おし、覚えたぞ!本体にも伝わったはずだ!俺様の本体の根城、空に浮かぶ唯一のダンジョン、トニトルスで待っているぞ!」
直後ドラゴンは自ら彼岸花の群れになかに突っ込みました。そして彼岸花が赤く輝いた直後たっぷり30秒間にも及ぶ大爆発が起こりました。当然ですが、私の体もまた吹っ飛びました。
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