常識……?
「Cランクになりたての魔法使いの実力ではねぇだろ!!そりゃ、ただのCランクじゃないとは思ってたがが、なんていうか、……おかしいだろ!!」
イゾウさんが私の肩をブンブン振ってきていますが、私には言っていることがよくわかりません。Cランクの実力っていうのがどれくらいなのかが分かりませんからね。
「ちょ、ちょっと待ってください!私に言われてもわかんないですって!!」
「んなこたぁ、わかってるわ!だが、今の魔法はどう考えても少なくともBランクでも上位の方と匹敵するだろ!!」
うおお、やめなさいやめなさい!頭が回りそうです!助けッ!
「はっ!貴様何をしている!ルナちゃんを放さないか!!」
呆然としていたアカリさんが結構距離があったはずなのにそれを一瞬で詰めてイゾウさんの頭をぶっ叩きました。……いやいや、あなたも一体何をしたんですか。動きが全く見えなかったんですけど。
「いやいや、お前もおかしいと思っただろ!!いつだったか、ミラほどでは全然ないが、あの弟子くらいの実力は確実にあるだろ!」
「そうかもしれないが、問題はそこじゃない!早く手を放さんか!!」
そこまでアカリさんが言ったところでようやくイゾウさんの手が離れました。
ふう、そんなに私の魔法ってすごかったんでしょうか?でも魔法しか使えないし、その魔法でもお母さんには絶対勝てないですよ?……まあ、比べる対象がおかしいのかもしれませんが。
「まあ確かに想像以上だったね。さっきは魔力に自信があるっていうことを少し心配だったんだけど、その心配は的外れだったみたいだしよかったよ。無理はしてない?」
「はい。まったく無理をしているつもりはありません。」
「そう、ならよかった。」
……リュウマさんだけはすごい落ち着いていますね。お二人はまだ言い争っていますけど。
「はいはい。二人ともその辺で。ここダンジョンの中だから。とりあえず、ルナちゃんの実力も分かったところで提案があるんだけどいい?」
「……ふう、すまない。それで、その提案っていうのは?」
「うん、4人で順番に一人一部屋ずつ攻略するっていうのはどうだろう?もちろんボス部屋は違うけど、その方が早く攻略できそうじゃない?」
それはありですね。私もこの程度なら一人で全部片づけることができますし。皆さんさえよければ私は反対しませんよ。
「じゃ、ルナもよさそうし、そうするか。アカリもそれでいいだろ?」
「もちろんだ。せっかくだし競走でもするか?前は私が一番だったがな。」
「運がよかっただけだろ。次は俺が勝つ!リュウマはどうする?」
「僕は時間を計っておくよ。速度にはそこまで自信がないからね。」
おお、楽しそう!でも私は初めてなので入らない方がよさそうですね。とりあえず、リュウマさんの隣で時間を一緒に計っておきましょう。
次の扉をくぐると、今度はしっかり魔物が待っていました。数は先ほどと同じくらい。なら問題はなさそうですね。
「まずは私が行こう。」
そう言いながらアカリさんが刀を抜きながら一歩前に踏み出しました。次の瞬間、アカリさんの姿が消えました。
そしてパチンという刀を鞘にしまう音と同時に魔物の姿がすべて消えました。
「えぇー……。なんですかそれ。」
「ふふん。この程度のモンスターであれば、一撃で倒せるからな。走って通りすがりに斬ってしまえばそれでおしまいなんだ。」
アカリさんが目の前でドヤ顔でそんなことを言っています。……またいつの間に帰ってきたのやら。
「記録は?」
「2秒だよ。」
2秒!?え?刀って近接武器ですよね。何を言っているんでしょうか?
「チッ、はえぇな。相変わらずスピードはとんでもねぇな。」
「ふふん。降参してもいいんだぞ?」
「はんっ、ありえねえな。俺の方が速い。次行くぞ、次。」
イゾウさんがゆったりとした足取りで開いた扉の方へ進んでいきます。その後をやれやれと言いたげなリュウマさんと勝ち誇った顔をしているアカリさんが追いかけていきます。……仲良しですね。
次の扉をくぐるともうイゾウさんが2本の刀を抜いていました。
「よし、行くぞ。」
その一言と同時にイゾウさんの姿が消えて、魔物を斬る音が重なって聞こえてきます。そして魔物がすべて消えました。部屋の奥の方では刀を振り抜いた格好で止まっているイゾウさんが立っています。
「リュウマ、何秒だ!?」
「5秒!」
「はい、私の勝ち!」
「いや、今回はまだ体がなまってたからだ!次なら勝てる!」
お?まだやるんでしょうか?まあ、私は見てて楽しいのでいいんですけどね。
「次もやるのか?構わないが、結果は変わらないと思うぞ?」
「見てろよ。次は俺が勝つ。」
そんな二人とは対照的に次の部屋はリュウマさんがのんびり倒していきました。時間は多分私と同じくらいだったと思います。
次はまた私ですか……。どうでもいいですけど、ボス部屋はどれくらいでつくんでしょうか?




