ここが竜の爪痕ですか……
「よーし、じゃあ入るぞ。ここは全3階層だが、1階層からそれなりに強い魔物が出てくるから気を付けろよ。」
「ルナちゃんは私が守るから関係ないがな。」
「まあ、順番はお頭、僕、ルナちゃん、アカリの順番でいいかな。ルナちゃんは適当に魔法を撃ってくれればいいからね。僕達はそこまで攻撃しないから一層の間は好きなように魔法を撃ってくれていいからね。」
「了解です。じゃあ魔物が出てきたら魔法で攻撃していきますね。」
竜の爪痕の入り口はドラゴンによって壊されていたはずですが、もう直っています。その入り口は小高い丘の真ん中あたりにあって、その先に階段があって今はそこを下りています。ちなみに入り口付近に立っていた兵士さんに冒険者カードを見せたらあっさり通れました。
「今のうちにここの構造を少しだけ説明しておこうかな。まず、この階段を下りたら少し広めの広場があるんだよ。部屋って呼ばれているんだけど、そこに大量の魔物がいるからまず全部倒すんだよ。」
はい。
「そうしたら部屋に出口ができるからそこを通って次の部屋に行く。そうしたらまた魔物が出てくるからすべて倒すんだよ。」
はい。……はい?
「で、また出口が出てきて……、っていうのをひたすら繰り返すんだよ。ボス部屋の入り口が出てくるまでひたすらに。運がいいとすぐに出てくるけど、運が悪いとまったく出てこないっていうとんでもないダンジョンだよ。ちなみにボスは昨日話した通りだよ。」
なんですか、その地獄の無限マラソンみたいなのは!!運が悪ければひたすらずっと戦い続けるっていうことですか!?
「お、びっくりしてるね。だから魔力の使い過ぎには気を付けてね。部屋の魔物を全部倒せば一応休憩はできるけど、魔力を回復させられるくらいの時間は無いと思うからね。」
「そ、そうですね。まあ、これまで魔力が切れたことがないのでわからないですが、気を付けておきます。」
「あ、そうなんだ。そんなに魔力量が多いんだね。」
「そうなんですよね。私は魔力量だけは自信があるんですよ。」
ちなみにボスモンスターもランダムです。1層はワイバーン5体、ハイワイバーン3体、下位竜1体のどれか。2層はレッサードラゴン5体、下位竜3体、中位竜1体の内どれか。3層、ラスボスは中位竜が3体、上位竜が1体、極稀に最上位竜が1体出てくるらしいです。
ワイバーンとハイワイバーンはブレスが吹けない空を飛ぶトカゲ、下位竜はブレスがようやくふけるようになっただけだからここまでは雑魚と、昨日イゾウさんが言っていましたね。中位竜、上位竜、最上位竜の違いは知能の高さ、そして生きた年数によるといわれています。まあ具体的には分かりませんけどね。
お、石でできた重そうな扉が見えてきましたね。本格的に始まりですか。
「よし、着いたぞ。早速行ってみるか。」
イゾウさんが散歩に行くような感覚で扉を押し開けました。……え?
「ちょっとまてぇ!貴様何そんなあっさり扉開けている!?ルナちゃんは今日が初めてだっていうのに!!」
アカリさんが思いっきり突っ込んでいます。っていうか思いっきり叩いていませんか?
「痛っ!?なんだ……って、ああそうか。」
「そうかじゃない!!」
「落ち着いて!もう開けたんだから入るしかないよ!」
リュウマさんのそんな声に押されて私達全員が部屋の中に入りました。すると、部屋の反対側に大量の魔物が現れました。天井から落ちてきたわけでも地面から出てきたわけでもないんですが……。
ま、とりあえず倒しておきますか。数はだいたい50体くらいですか……。種類は……あれ?雑魚モンスターしかいないじゃないですか。ならとりあえず様子見ですね。
「アイスアロー・クインティ!」
一束10本の氷の矢を5回分発動させます。そしてそれを魔物めがけて放ちました。弧の軌道を描きながら魔物の集団に雨のように氷の矢が降り注ぎました。
でも、倒せたのは半分くらい。倒せたのは消えましたが、まだもぞもぞ動いていますね。
「おー、耐えますか。なら中級魔法ですかね。アイスバリス!」
再び手のひらの上に10本の氷の矢が浮かび上がりました。確かに氷の矢自体の大きさは変わらないんですが、そのスピードが違います。地面と平行の角度でまっすぐ矢が飛んでいきます。そしてしっかり、全ての魔物を倒しきりました。
お、奥の扉がゆっくり開いていきますよ。っていうことはこの部屋をクリアしたっていうことですかね。
「あ、終わりましたよ。……皆さん?」
「「「………………」」」
アカリさんがイゾウさんにつかみかかっている所で止まっています。リュウマさんは腰の刀を抜こうとしています。
「え?」
「「「え?ではないだろ!!!」」」
何か変なことをしたんでしょうか、私?
ルナちゃんは無自覚最強主人公ではありません。ただ友達がいないから常識がないだけです。




