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冒険者登録をするそうです。……テンプレ?何ですか、それ?

「では、登録をお願いします。」


 冒険者ギルドで受付の前に並んでいましたが、周囲が騒々しいですね。ようやく順番が来て受付の前に立っていますが、当の受付嬢さんはあわあわしています。

 ……なんでですかね?


「いや、ルナのせいだと思うよ?」

「なんですか?私が何をしたと?」

「いやいや、後ろ見てみよっか?」


 えー、何ですか?……私の後ろには小奇麗な丸机がたくさん並んでいて、そこに一つの机あたりだいたい4脚くらいの椅子が置いてありますね。そしてその机で、多くの人がご飯を食べてます。それこそマンガでしか見たことのない骨付き肉や、樽ジョッキって言うんですか、あの木でできたジョッキが置いてありますよ。

 ……うーん、別に特にこれといった異変はないように感じますが。時代が少し違うけど大衆食堂っぽい、いい雰囲気ですね。


「いやいや、足下ね。ほら、人が倒れてるでしょ。っていうか踏みつけてるでしょ?」

「……え?いえいえ、これは人、なんでしょうか?」


 足元に視線を動かすと、そこには焦げ臭い臭いと共に小さく呻きながら倒れている大柄な男性がいますが……。

 お兄さんが少し離れた瞬間に絡んできた愚か者じゃないですか。しかも武器も何も持っていない、か弱い女の子ですよ、私。なら、何をしようと正当防衛でしょう?

 あ、もしかしてこの食堂に似合わないほどの静けさがこの場を支配しているのは私のせいだったりします?ちらっと周囲を見渡しただけでこちらを見ていたであろう視線が次々にそれていきます。


 そんな周囲の沈黙を破るようにコツコツと、靴を鳴らしながら階段を下ってくる音が聞こえます。音がしてきた方に視線を送ると、そこには肌が少し黒めで長身の女性が立っていました。


「はあ、ソル。お前の妹もなかなかだな。5年前、お前も全く同じ騒動を起こしたんだっけな。……だれか、ガルムを医務室に連れてってやれ。」


 様子を見ていた冒険者が何人か駆け寄ってきたので、足を上げてあげます。どうやら私は踏んでいたようなので。

 ペコペコ頭を下げながらガルムと呼ばれた男を引っ張って奥の方に走ってます。


「いやー、僕の時はしょうがないじゃないですか、ギルマス。勝手がわからないときに突然絡まれたら思わず反撃しちゃいますよ。」


 ほお、あの方がギルマスなんですか。……なんというか、世の中不条理ですね。スタイルやばいじゃないですか。顔は小さいし、背筋はすらっとまっすぐ伸びています。腰に差している細剣がいいアクセントになってますね。

 ……いや、今はそうじゃなくて。


「お兄さん?それは今の私と全く同じですよ?」

「え?いやいや、僕は痛めつけたりとかしてないから。」

「私も痛めつけてませんよ?優しいですから、私!」

「踏んでたじゃないか。」

「ほら、それは、えっと……愛ゆえに?」

「あんな敵に向けるような目で睨んでたのに?随分と歪んだ愛だね。」

「そうなんですよ!で、お兄さんは身体能力がバグってるんですから思わずで相手は瀕死だったんじゃないですか?」

「いやいや、え?うーん、どうだったかなぁ。でも大丈夫だよ。きっと。うん。」

「半分自問自答だったじゃないですか!絶対相手は半死半生だったでしょ!?」


 私とお兄さんが下らない言い争いをしているとそこにとうとう雷が落ちました。


「どっちもどっちだ!問題児ども、いいから私の部屋に来い!」


 しかも文字通りの雷です。魔法で出したんでしょうか、ちょうど私達にも床にも当たらないように調整されています。……ひぇー。なんてコントロール技術なんでしょう。私は発動させることはできましたが、ギリギリで外す何てことはできませんね。

 ……え!?ちょっと待ってください、問題児って、その中に私は入っていませんよね?なぜか複数形なのが気になりますが。

 ちょっとやれやれみたいな感じをしているお兄さんの後ろに隠れておきますか。一応ですよ、一応。万が一っていうこともありますからね。


「当然、お前も入っているわ。ソルの妹!」

「えっ!!?」

「なんでそんな意外そうな声が出るんだ!?」



 はーい、場所は変わりまして、ギルド長室です。ギルドの二階から魔法陣を介した移動魔法で最上階まで一度で移動しました。

 ……すごいですね。たしか魔法陣を介している以上、魔法は無属性魔法の極致である空間魔法の中でも一番簡単な物になっているはずですが、何も分かりませんでした。一度見た魔法は何となく構造が分かるモノなんですが、ただ、ひたすらに複雑でひたすらに深いということしか分かりませんでした。


「で?経緯を話してもらおうか。」


 机に肘をつきながらこちらをジトっとした視線で見つめてきます。しっかり別のことを考えようとしていたんですが、それは許されなさそうです。

 ……本当にそんな目で見られることしましたかね、私。いや、したんでしょうけど。思い当たることもなくはないですけど。でもあれはしょうがなくないですか?


「経緯って言われても、僕はそこまで知らないんですけどね。今日は両親にルナを冒険者ギルドに入れてくるように言われて連れてきたんですよ。で、ルナはちょっと特別だから先にギルマスに知らせに行こうと思って、少しルナを一人にしてたらことが起こってましたね。

 たった数分側を離れた間にやらかすなんて。いやー、我が妹ながら恐ろしいですね。」

「んなっ!?」


 まさかの全部丸投げしてきましたよ、この兄!ほら、ギルマスの視線が私に集中しちゃったじゃないですか。

 うぅぅー!頭を回転させるんです、私!

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