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Aランクってすごいんですね

 ソフィアさんの所から離れて食堂に足を向けます。さーて、どちらにイゾウさんはいらっしゃいますかね。


 食堂とは言いますが、どちらかというとフードコートのような形に似ていますね。奥の方に厨房のようなものがあってそこで料理とか飲み物とかを注文して、手前のテーブルで食べるっていう感じですね。

 まだ昼間なのに結構にぎわっていますね。中には冒険者には見えないような人たちもいます。明らかに貴族や商人のような恰好をした人たちもいます。冒険者と依頼について話しているのでしょう、冒険者と同じテーブルで相席をしています。


 ……貴族?まさか……。いえ、考えすぎでしょう。ですが、万が一もあるので早くイゾウさんを見つけないと。


 食堂内でキョロキョロしていると、食堂内にも関わらず水しか飲んでいない不自然な男と目があってしまいました。しかも恰好からして明らかに貴族じゃないですか。絡まれたら面倒くさいので近づかないでおきましょう。


 ……っていうのに、その男が近づいてきましたよ。ふざけんな。しかも気色悪い笑顔を浮かべながら。


「そこの少女よ。私と一緒にご飯でもどうだい?もちろんお金は私が払うよ。」


 うーわ、この断られるとは全く思っていない感じが余計に嫌いですね。見た目だけは整っているせいでしょうか?


「拒否します。先約があるので。」


「いやいや、そんなこと言わないで。ほら、ちょっとだけだから。」


 なおも馴れ馴れしく話しかけてくる男。しかもあと少しで手を伸ばしたらぶつかるくらいの距離まで近づいてきてるじゃないですか。ちょっとイライラしちゃいますよ。もし触られたら反撃しちゃうかもしれませんね。


「離れてください。それ以上近づいてきたら反撃しますよ。」


「へぇー、どんなことできるのかな?私は分かると思うけど貴族なんだけど。平民が貴族に手を上げるっていうのかい?」


 やはりこの手のタイプの貴族でしたか。


「必要であれば躊躇いはしませんよ?そもそも領地も持たない役職付きの爵位でしょうに。」


 この台詞はこの魔都の貴族に対しては侮蔑的に使われることが多いんですよね。何せ、この魔都での貴族は大抵が役職と共に魔王様から与えられる法衣貴族で、一旦そこで終わってしまうんですよ。その役職は優秀な者に引き継がれるので、それがその貴族の子息であるとは限らないんですよね。まあ、もし引き継げなくてもはるかに下位の役職に就くのでそこで貴族になりますね。ただ、当然爵位も下がるので親族からは冷たい目で見られるでしょうね。


 それで、この台詞を言われてキレるということは親の爵位を継げるほど優秀ではないということになるんですよ。そしてこの時間にここで一人でたむろしているような人が優秀であるはずがないので……。


「なんだと……!平民風情が言わせておけばっ……!」


 逆上して手を上げてくるでしょうね。まあ、これも想定内ですが。大きく一歩下がって魔法を発動させ……。


「貴様何をしている?」


 魔法を発動させる前に何者かが私と男の間に突然現れて、男の腕をつかんでいます。


「なっ!?放せっ!」


「放すはずがないだろう。貴様無抵抗の少女に対し手を上げようとしたんだぞ?しかも貴族だから、なんだって?」


「痛い痛いッ!貴様、僕を誰だと思っている!?」


「爵位を継げるかどうかもわからんドラ息子だろ?それか力を無為にかざす愚か者か?」


 おお、すごいこの人。私が内心で思ったけどあえて言わなかったことをしっかり言いますね。……あれ?この人の服装って和装?っていうことはイゾウさんを知ってたりしますかね。


「あの、すいません。」


「ん?なんだ?ちょっと待ってろ。こいつの素性を暴いてしっかり目にものを見せてやるからな。一般人の女性に貴族だからと高圧的に当たるのは貴族としてよりも、力があるものとして間違っている。」


「いえ、それについてなんですが、私冒険者なんですよ。」


「なぁ!?そうだったのか。すまない、恰好からして一般人だと勘違いした。……では、こいつはどうしようか?」


「私はどうなってもいいですね。それよりもイゾウさんという方をご存じないですか?」


「うん?イゾウの客人か。ならあの端っこの席にいるぞ。私はこいつにまだ聞きたいことがあるから先に行っててくれ。」


「ありがとうございます。」


 そして教えてもらった方に足を向けます。


 ……ふぅ。びっくりしましたね。本当に突然現れたので咄嗟に魔法を放ちそうになりました。ですがまったく敵意を感じなかったので魔法を何とか引っ込めることができましたが。でもあの貴族の男の様子からして殺意にも似た圧が放たれていたことは想像に難くないです。


 つまり、なにが言いたいかというと、たった一人に対して圧を集中していたっていうことなんですが、これって結構難しいんですよ。例えば、怒ったときって周囲の人にもあの人怒ってるな、ってわかるじゃないですか。でもさっきの和装の女性の場合ですと、それが分からないんですよ。だから食堂内でも注目こそすれ、怯えているような感じの人はいませんでしたからね。


 って言っている間に見つけましたよ。もう一人刀を腰に差しているイゾウさんと同年代の男の人が同じテーブルに座っていますね。


「こんにちは、イゾウさん。さっきぶりですね。」


「ん?おう、来たか。まあそこに座りな。」


「ありがとうございます。」


 そうして向かい側の一席に腰を掛けました。

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