スタンピード戦 序
本日二話目です。
よろしくお願いします。
……え?ち、遅刻なんてしてませんよ?(14時に更新予定でした)
「とうとう来ましたか……。私達はもっと前で受けますよ。」
わかっていたことですが緊張してきましたね。でもそんなことを言っている余裕はありません。あと少しで装備を整えたBランク以下の冒険者さんたちがここに到着してしまいます。
「そうだな、俺たちはもっと前に出て数を減らしておかないとな。」
「後ろに来るのがCランクなんでしょ?だったら弱そうな魔物はあたしたちは無視していくわよ。」
「そうだな!俺たちは強そうなのを中心に、それ以外は手傷を負わせた状態で後ろに流そう。」
「それがいいですね。基本ですが、それが一番分かりやすいと思います。」
そう、私が偉そうに言っていたことって実は常識なんですよね。まあいくつかスタンピードに対応するための定石みたいなのがあるんですが、それのうちの一つをほとんどそのまんま言ってたってことです。
スタンピードの魔物はなぜか多くの人がいる街を目指して移動してきます。その途中で私達冒険者と遭遇しても、私達を倒すことよりも街に近づくことを優先するんです。そりゃ、魔物たちに攻撃したら反撃してきますけど、彼らは抜けられると思ったら反撃よりも突破を選択するんです。
スタンピードが起こった最初の頃はこれで街が滅んだなんてことも珍しくなかったそうです。大打撃で済んだら御の字だったとか。
でも、最近ではこのような習性を逆手に取った戦法が考えられるようになってきました。それがさっき皆さんが言ってたことです。今回の魔物は攻撃しても逃げに徹すれば反撃されることはありません。なので一回の戦闘で倒しきる必要はなく、段階を分けてダメージを蓄積させて街に魔物が到着するまでに倒しきるといった策がとれるんです。
「ではここら辺で散らばりましょう。皆さん、とにかく死なないことを考えてください。」
「おうともさ!」
「当然よ!ソフィアさんも気を付けてね?」
「そうだぜ。ソフィアさんの戦い方は知ってるからそれは一番なのもわかるけど……。」
「大丈夫ですよ。これでも本部ギルドのサブマスターなんですから。」
正直怖いですが、大丈夫です。きっとあと少しでギルマスが来てくれます。だから一人で戦うのはほんのちょっとなんですから。
「……こうなったら俺たちが何を言っても変わらないか……。」
「ソフィアさんってこういう時は頑固だからね……。じゃ、また後で会いましょう!」
「俺は知っておったけどな。行くぞ!」
「「「おおお!!」」」
皆さんが大きく横に移動していきます。心にちょっと穴が空いたような、そんな感覚に襲われそうになります。
「ソフィアさーん!」
そんな感傷にひたりかけたときに、目の前から魔物の到来を知らせてきた声が聞こえてきました。……元気ですね。
そんなフォウトさんがこちらに近づいてきました。何かをその肩に乗せながら。
「ソフィアさーん!」
「なんですか!?聞こえてますよ!!」
「この人門で渡して来たらすぐ戻るんで、待っててくださいっす!」
「そうですか!ならだれかに今回の作戦聞いてから来てください!」
「分かりましたっす!」
肩に乗ってたのは人なんですか。なんかの塊だと思ってましたよ。……あれ?あの鎧って兵士さんじゃないですか?最後まで残っていてくれていたっていうことなんでしょうか?
それにしてもなんで人を一人担ぎながらあんなスピードで走れるんでしょうかね?強化魔法を使っていない私と同じくらいじゃないですか。
そんなめちゃくちゃな彼の姿を見ているとふっと、笑いがこみ上げてきました。なんか緊張してるのがバカみたいじゃないですか。雰囲気ぶち壊しですよ。
……まったく、なんていうか
「……ありがとうございます。」
ここ5年近く使っていなかった体内の魔力をほぐすように体中に張り巡らしていきます。この状態で魔力を使うと身体能力が上がります。無属性魔法の区分がされていますね。ちなみにこれは自分だけにしかかけられませんが、光属性と聖属性の魔法ですと自分と周囲の人たちにも強化魔法をかけることができます。同時に両方がかかると結構強くなります。
何せ片方はただ身体能力を上げているだけですが、もう片方はバフですからね。簡単に言うと、基礎能力そのものを上げるのが無属性で基礎能力にプラスでかかるのが光属性、聖属性魔法ということです。
っと、復習をしている間に魔物の姿が見えてきましたね。スライムに、ゴブリンが多いですが、ところどころボアやオークもいますね。そこらへんの魔物はしっかり片付けておかないと危ないですね。数が数ですし。
「氷属性魔法アイスパペット。それに爆属性魔法エンチャントウェポン。」
目の前に氷でできた翼の生えた馬が出てきました。それと同時に手に持っているトロイメライの刀身には一瞬緋色の輝きました。
……久しぶりですが何とかできましたね。あとは体の動かし方を思い出すためにちょっと戦いますか。ちょうどいい敵も出てきたことですし。
ちなみにトロイメライは私のレイピアの銘です。大切な人の形見でもあります。
一体一体がようやく識別できるぐらいまで近づいてきた魔物の群れを前に私は自分で作った馬の背に飛び乗りました。
ルナ「あれ?それってもしかしてユニコ……。」




