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もう、こんな時に……!

「申し訳ありません!ギルマス!」

「今はいい。それよりもお前に聞かねばならないことがある。」


 場所は変わって東支部にあるサブマスの副長室です。そこで私たちはサブマスの話を聞くことになりました。


「この支部で負傷者の増加と変異種の発生のどちらか、もしくは両方を確認してないか?」

「おおっ!さすがギルマス!お耳が早い!俺が報告しようと思っていたことをもうご存じとは!」

「ということは?」

「はい!昨日の負傷者が多かったのでその原因を調査したところ、魔物の変異種の存在が確認されました!しかもその数は少しではありません!これはもしかしたら、と思い判断を仰ぎたく!」


 ……相変わらず暑苦しいですね。そこがちょっと苦手ですが、それでもこの人はこの魔都ではおそらく上から10番に入るくらいには強いでしょう。当然一番上は魔王様ですがね。

 でもこれで確定的です。もうスタンピードが起こることも、そんなに猶予が残されていないことも。


「……これで決定だな。

魔都内の全ギルド、並びに門の衛兵に通達しろ!今日のこれからの依頼はすべて停止だ!ギルマスの私が許可を出したもの以外の外出を禁止する!同時に魔都全体に通知を出せ!Cランク以上の冒険者をこの東支部に集めろ!

 事態は急を要する!早急に動け!」

「かしこまりました!すぐに!」


 タイガさんがこの部屋から目にもとまらぬ速さで駆け出していきました。

……あれ?私がすることなくなったのではないでしょうか?


「私はこれから行かなくてはならないところがある。すぐに戻ってくるが、もしスタンピードが始まってしまったら、その時はタイガと共にここにいる上位の冒険者の指揮を取れ。すぐに私も他のサブマスも駆けつけるからそれまで頼むぞ。」

「……え?無理ですよ!そんな、そんな大役私に務まらないです!」

「大丈夫だ。お前は私が認めた立派なサブマスなんだからな。」

「……そんなのずるいですよ。それに誰もそんなこと知らないに決まってます!」


 私があまりに冒険者と仲良くなれないからといって押し付けられた本部ギルドのサブマスという地位ですが、きっと分不相応です。ただ書類仕事ができるだけなんですから。


「そういうのが苦手なのはわかっているが、やるだけやってみろ。もしもの時はタイガがいる、そう思ってな。それにわからなくなったら私についてこい!でいいじゃないか。ソフィアはサブマスの中でも一番強いだろう?」


 それは……。


「頼んだぞ。」


 そうギルマスは言うと、窓を開けてそこから飛び出していきました。




 はい、だだっ広い草原の中で子供3人と剣を探すことになりましたよー。どうしましょう。まあ子供達ならギリギリマナ・エコーでもしかしたら分かるかもしれませんが、剣はどうにもなりませんね。ただひたすらに歩き回るしかないんじゃないでしょうか。ちなみに、


「どこをどう逃げてきたか覚えていますか?」

「ううん。逃げることでいっぱいいっぱいであんまり覚えてないや。」


とのことなのでもうどうしようもありません。でも幸運なことにオークの足跡はギリギリ残っていたので、まずはそれをたどることにしました。

 まあ当のオークは私の背後に浮かんでいるんですけどね。風属性中級魔法のサイクロンという魔法です。これは風で敵を吹き飛ばす魔法なんですが、込める魔力を減らすことでちょうどいい位置に浮かべることができます。いやー、魔法様様ですね。……魔力に異常な余裕がある人にしか使えないでしょうが。


「お姉ちゃんってもしかしてエルフ?」

「そうですよ。あなたは犬の獣人ですか?」

「そう!だから匂いでみんなの場所が分かると思ったんだけど、全然みんなの匂いがしないよ。」

「まだ遠くにいるのかもしれませんね。それか水をかぶってしまって匂いがしなくなってしまったとか。」

「え?水をかぶっちゃうと匂いしなくなるの!?」

「まったくしなくなる、ということはないでしょうけど、弱くなってしまいますね。」


「でもエルフって結構少ないよね。僕何回かしか見たことないよ。」

「そうですね。私も知る限りでは家族しかいないです。」

「あ、でもね。初めてあった冒険者の人はエルフだったんだ!すごいカッコよくて強かったなぁ。僕もあんな風になりたい!」

「では頑張らないといけませんね。強くなるのには時間がかかりますから。」

「うん!頑張る!」


 こんな会話をしてました。……え?姉弟みたいですって?……まあ気分はそんな感じでしたけど、弟ができたかもって内心はしゃいでた部分もありますけど。でもしょうがないじゃないですか。弟が欲しかったんですから。


 この時間が続いてくれてもいいかも、なんて思った時に反応がありました。しかも一つどころではなく大量に。

 ……まさか。


「ここで待っていてください!」


 反応があった方向に駆け出すとそこでは、


 3人の少年少女たちがゴブリンの集団に囲まれていました。

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