うーわ、マジですか(引)。
男の手が離れた瞬間に私の体は流れるようなスピードでソフィアさんの背中に隠れるように動いてしまいました。むむっ、私自身も動いたのに気づいたのが動き終わった後でしたよ。……なんてね?まあ私が考えるよりも先に体が動いていたのは確かですが。
「ほら、すごい怖がっているじゃないですか。一体どうするつもりなんですか?」
「え、いや、ほんとにそんなつもりじゃ……。」
「あなたにそのつもりがなくても本人がそう思ったらそれがすべてなんです。あなたがどう思おうが関係ありません。それに今ここにいる冒険者の皆さんもですよ?これだけ彼女が怯えているんです。なぜ止めなかったんですか?」
そうソフィアさんが問いかけると、ざわざわと冒険者たちがざわめき始めました。
「いや、そりゃーなぁ?」
「当のガルムさんがあの子は俺に惚れてるって言ってたし。」
「いや、まああたしは違うのかなって思ったけど、あたしじゃ止められないし。」
「だよね!だって初対面からめんどくさい絡みをして魔法で撃退されてたはずなのに。」
「そうだったな。たしかまだあの時はあのこがギルドに入っていなかったから悪いのは一般の人に絡んだガルムさんってことになってたもんな。」
「でもあの現場を見ちゃうとね、さすがにガルムさんの肩は持てないかな。結構お世話になったけど尋常じゃないくらい嫌がってたもんね、彼女。」
そんなことを言っていますが、結局助けてくれなかったのは同じですよね?まあそこは良くも悪くも実力主義ということなんでしょうが。
「いいです。というかあなたギルマスにも一回注意されてましたよね?」
「うっ!?で、でも……。」
「黙りなさい。今回は見逃しますが、次やったら即ギルマスに報告します。それがいやだったら気を付けるように。」
「……分かった。じゃあこれで最後にするが、俺のパーティーには入りたくないっていうことでいいか?」
「当然です。パーティーメンバーは自分で探します。」
「そうか……。まあ入りたくなったらいつでも言え。席は用意しておいてやる。」
そう言うと、そのガルムという男は自分のパーティーメンバーと思しき人達のところに引っ込んでいきました。それを合図に野次馬していた他の冒険者達も行動を始めました。
「では行きますよ。今日の依頼はちょっと特殊なものになっています。なので現地に着いたら説明しますね。」
「わ、分かりました。」
今更ですが、ソフィアさんは普段来ていた受付嬢の制服ではなく、普段着のようなものの上に胸当てだけをしています。そして腰には細剣を下げています。すごいおしゃれです。……ちなみに私は防具なし、武器なしです。ちくしょう、こういうの見ちゃうとやっぱり憧れますね。防具や武器をつけてみたいです。
街から出てここ一週間で毎日来ている草原にやってきました。ここは風が気持ちいいですね。
「さて、依頼について話しましょうか。」
「あ、っはい!」
おっと、そうでした。今日は依頼を受けに来たんでした。気を引き締めないと。
「本日の依頼は、私の護衛をお願いします。」
「え?」
え?護衛?あ、同行ってそういうことですか?ただソフィアさんに私の戦闘をしているところを見せればいいものだと思っていました。……でも護衛ですか。普通にソフィアさん強そうなんですけど。おそらくお兄さんよりも強いんじゃないでしょうか。いえ、剣のことはよくわかりませんから何となくです。ソフィアさんから感じるオーラとお兄さんから感じるオーラを比べると、ソフィアさんからの方が強いような気がするんですよね。まあ、ほとんど当てになりませんが。
「私がここら辺を歩き回るので魔物に襲われそうになったら助けてください。助けるだけでいいですので、別に必ず魔物を討伐しなければならないというわけではありません。」
「なるほど。つまり魔物を追い払うだけでもいいんですね?」
「別にそれで構いません。もちろん討伐したら討伐部位を回収して頂いても構いません。その分は常時依頼の報酬ということでしっかり報酬も出ます。
では説明は以上です。早速行きましょうか。」
「分かりました。」
要はソフィアさんに近づいてくる魔物をすべて討伐してしまえばいいんですね?それなら話は楽です。たくさんマナ・エコーを使ってひたすら近づいてくる敵を索敵し続けましょう。
そして嬉しいことに、私とうとう無詠唱で魔法を使えるようになりました!と言っても、たくさん使った魔法だけなんですけどね。マナ・エコーとか、マナ・エコーとかマナ・エコーとか。
……要は無詠唱を使えるってわかっているのはこれだけなんですけどね。今朝寝ぼけて部屋の中でマナ・エコーを使った時に無詠唱で使えることに気づきました。
なので今日の索敵は任してくださいよ!魔力にものを言わせてマナ・エコーを使いまくってやりますからね。




