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おや?もしかして思った以上にやっちまいましたか?

他人称アリです。

「……本当ですか?本当にただのサンダーボールですか?」

「いえ、今度こそは本当ですって。ただのサンダーボールです。」

「そうですか。……明日も依頼を受けますか?」

「え?受けますけど、突然どうしたんですか?」

「明日は同行させてもらいます。」


 ……え?ちょっと何言ってるのかわからないですね。誰が何に同行するんでしょうかね?実はこういう時頭悪いんですよね、私。


「……ですから明日、あなたの依頼に私が同行させてもらうと言っているんです。それともお友達もいないあなたには難しいでしょうか?」


 あ、やっぱりこの人ソフィアさんだ。今日はちょっと優しいと思ったのに、やっぱり毒舌のソフィアさんだ。……なんか二つ名みたいですね。いやな二つ名ですね。

 ……ああ、でも今のは心にきましたね。ざっくりと。やっぱり前世があるおかげですごい早熟だったんですよね。だから誰とも馴染めなかったというか、馴染めたと思ってもお兄さんと同い年くらいの人とかで接し方が分からなかったというか。まあ、だから貴族の人とも付き合いはありましたが、ほとんど友達と言えるような人はいなかったんですよね。

 いえ、だから冒険者になったら友達を作ろうとひそかに思っていたんですから。別に後悔はありませんね。……ただ現在進行形で誰とも喋っていないんですが。どうしましょうかね。


「そうですね。分かりました。では明日も今日と同じくらいの時間に来ます。」

「はい、お待ちしています。」


 ふう、では今日やることも全部終わったので家に帰りましょうか。……へそくりはどこに隠しましょうかね。せっかくなので誰にも気づかれないような場所がいいですよね?

 ここはやはり、べたにベッドの下に隠しましょう!




 ふう、ルナさんが帰りましたか。明日は久しぶりに依頼に出ることになりますからね、しっかり準備をしておきましょう。


「……ソフィア先輩、何か異常でもあったんですか?」


 隣の窓口で受付嬢をしている後輩のアメリアが話しかけてきました。この娘は冒険者時代でも私の後輩でしたね。だから付き合いだけは無駄に長いです。


「いえ、特に何もありませんよ。ただ、どんなに個人の実力があろうが一匹狼を気取るには冒険者はあまりに危険です。そのことをわかっていない彼女に叩き込まないと。」

「そうですか?何でも彼女は賢者の称号を持っているらしいですよ。それにそうじゃなくても、ランクスキップ試験の時に氷魔法や雷魔法をいとも簡単に扱ったとか。だとしたらその強さは認めてあげてもいいのではないでしょうか?」

「だからこそ、です。強すぎる才能は持ち主を壊していきます。鋭利な刃物は刃こぼれがしやすいように、彼女の高すぎる魔法の才は彼女を苦しめるでしょう。それは例えば誰にも理解されない孤独であったり、自分を超える圧倒的な才能との遭遇による挫折であったり。

 彼女は刃こぼれしないような手入れの仕方と、もし刃こぼれしてしまった時にどのように対処するかの方法を知っておかねばならないのです。」


 そうでないと、彼女もあの大馬鹿野郎と同じ道をたどってしまいます。


 ……もうそれだけは嫌です。あの時のアイツのような顔はもう見たくないんです。あの自分が信じていたものがあっけなく壊されて泣き出したいはずなのに、私達のためにそれを引っ込めて無理やり浮かべられた悲痛な笑顔を。


「では、少々席を外しますね。ギルマスの所に行ってきます。……まあ私の所に来るようなもの好きはあまりいないでしょうが、もしいたらアメリアが対応してください。」

「かしこまりました。」



 そして少女といっても過言ではない容姿をした彼女は青い髪を背中になびかせながら奥の転移魔法用の魔法陣が置かれている所に向かって行きました。当然そこには誰でも入れるわけでは無く、緊急の用事がある職員と冒険者かギルマスしか使うことができません。別に誰かがそこの前に立っているとかいうわけでは無いのですが、移動魔法陣を発動させるとギルマスは感知できるのでばれてしまうのです。まあ階段もあるので緊急時以外は階段を使うんですがね。

 ちなみにこの冒険者ギルドは3階建てです。最上階にギルマスの部屋があって、2階には客室と受付嬢の休憩室があります。

 おっと、こんな話をしている内にソフィア先輩の姿が見えなくなりましたね。


「まったく、ソフィア先輩は嘘をつくのが下手ですね。」


 ソフィア先輩が冒険者の対応に厳しいのは優しさなんですよ?まあほとんど誰も気づいていませんが。気づいていないので私みたいな受付嬢の仕事を満足にできない下っ端の所が人気になるんでしょうが。でも、よく見たら気づくはずなんですけどね。ソフィア先輩と仲がいい冒険者は皆優秀なんです。剣聖という称号を得たソルさんのパーティーしかり、聖槌のトリトンさんしかり。


 そして、それだけではありません。彼女が動くときは必ず何かあります。もしかするとこの魔都にさえ大きな影響を与えかねない大事件が。

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