や、やっちまいましたぁー!!
びっくりしました!踏んづけたスライムの足から私の体に強烈な電撃が走って私の体から少し煙が上がっています。思ったよりもダメージは大きく、体がマヒを起こしたようで思ったように動きません。
そして私にそんな大ダメージを与えた当のスライムは核だけを残して消えています。……最後っ屁だったわけですか。まあ、私には意味がありませんでしたが。なにせ吸血鬼なので、私!ほら、みるみるうちに体が治っていきますよ。
……、……あっ!やっちまいました!
「ヒール!」
慌てて光属性の回復魔法を傷がほとんど治っていた自分にかけました。ものの数秒で全快の状態に私の体は戻りました。でも安心はできません。先ほどの状況を誰かに見られていたらそれは同時に私の種族がばれるということになりますから。
……周囲に人の気配はありませんね。ではさっさとここから離れるとしましょう。もちろん討伐部位は回収してですよ?
はぁ、今日の依頼は一時間もかからないで終わったわけですが、昨日以上に疲れましたね。魔物との闘いで初めてダメージを負いましたし。いやー、攻撃を受けた瞬間のことは忘れられませんね。まるで足元が抜けたような感覚がしました。痛みよりもこれまで一方的に攻撃していただけでしたから、反撃をされるなんて考えていなかったんですよ。その常識がひっくり返ったことの衝撃の方が大きかったですね。……実際ダメージはほとんどゼロに近いと思いますが、初めて死を実感しましたね。
冒険者ギルドに着くとすっかり冒険者の数は減っていました。まあちょうどお昼時ですからね。ま、悲しいことに混んでいてもソフィアさんの前にはあまり冒険者は並んでいないでしょうが。
……あ、その前にはぐれゴブリンのことを口にしないようにしないと。多分ばれたら怒られますね。
「すいません、ソフィアさん。依頼達成です。」
「……今日はいつもにまして早いですね。何かあったんですか?」
「今日は一発で見つけることができたんですよ。なのですぐに終わりましたよ。」
「そうですか。では討伐部位の提出をお願いします。」
「はい。これがスライムの核ですね。」
「……確認しました。これが今回の依頼報酬です。」
今日の達成報酬は、……銀貨一枚でした!まあそんなもんだろうとは思っていましたけどね。なにせはぐれゴブリンよりも弱いらしいですから、それよりも達成報酬は少なくて当然ですよね。これでやっと達成報酬で始めたへそくりが銀貨10枚に行きましたが、ちょっと複雑です。……まあ、銀貨10枚で何を買えるかは全く分からないんですが!
「……で?何かありましたか?何かが焦げているようなにおいがあなたからするんですが。」
え?嘘でしょう?そんなにおいするはずがないんですが。しっかり回復魔法も使いましたし、それに何ならあの攻撃を受けてから30分くらいは経っていますよ?
「スライムから攻撃を受けたりしましたか?」
こ、ここは何とかごまかさないと……!
「そ、そうなんですよねー。まさかあんな攻撃をされるなんて知りませんでしたよー。」
やっばいですよ。めちゃくちゃ棒読みになっちゃいました!
「そうなんですか。一体どんな攻撃をされたんですか?」
「え、っとですね。その触手のようにスライムが手を伸ばしてきてですね。」
「はい。……はい?え?スライムはそんな攻撃をしてきませんよ?それにそれは焦げたようなにおいがあなたからするのとあまり関係がないですよ?」
「いやー、え?ちょっと何言ってるのかわからないですね。」
「何がですか!?……もしかして嘘ついてます?いえ、ついてますよね?」
うぐっ、これはもう逃げられそうにありませんね。あのソフィアさんの目はもう確信してそうですよ。……でも途中で私が適当についた嘘に騙されて少し慌てていた所はかわいかったですね。また嘘をついてしまいそうです。今のジトっとした視線で見上げてくるのもいいですね。
今回はこの可愛さに免じて白状するとしましょう。
「いえ、実はですね。スライムと遭遇した時にそこにはぐれゴブリンも一緒に居てですね。はぐれゴブリンも一緒に倒しちゃいました。」
ゴブリンの小指を出しながらそうソフィアさんに告げました。
「はぁ。そうですか。……いえ、当然ほめられたことではないですが、でも別に倒せる実力があるのであればそれはそれでいいんです、今は。そうではなく、どうして焦げたようなにおいがするのかを教えてください。」
「あー、それはですね。実はスライムに雷属性の魔法を放ったんですが、スライムが帯電してたんですね。そこに当たってしまいまして……。」
「それでその焦げたようなにおいですか。……一体どれだけ強い魔法を放ったんですか?」
「いえ、ただのサンダーボールですよ?」
「はぁ、ただのサンダーボールですか。」
うわぁー、これ絶対信じていませんよ。今度のは本当なんですけどねぇ。




