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何ですか、この人!!

 はあ、入りましょうか。目の前にはガラスでできた両開き扉があります。入ると冒険者ギルドですか。時間は昼前ですから中にいる冒険者の数はそこまで多くはないですね。……で昨日絡んできたのもいなさそうと。よし、行きますか!


「心の準備できた?」

「はい。できました。昨日絡んできた輩はいなさそうなので。」

「あー、ガルムか。あいつも別に悪い奴じゃないし、それなりに人気なんだけどなぁ。」

「私からしたらただのケダモノですね。もし、人気なのだとしたらその理由がしれません。さあ、行きますよ。」


 ガラス扉を押して冒険者ギルドに入ると、昨日と同じようにそこにいるみんなの視線が私に集まりました。でもその視線に込められた意思はかなり違ったものになっています。好奇の視線から、恐怖や怒りの視線へ。でも私に関わろうとはしていないようです。……まったく暇人ですね。よくもまあ、そんな無意味なことができますね。そんなのは放っておいて、昨日ギルマスに言われたように受付嬢に依頼について聞きに行きますか。……窓口がいくつかありますね。


「お兄さん、普段はどの受付嬢さんの所に行きますか?」

「僕はね。一番右の受付嬢さんかな。ソフィアさんって言うんだけどね。」

「……でも人気はなさそうじゃないですか?他の所には冒険者が並んでいるようですが、彼女の前には誰も並んでいませんよ?」

「まあそれは話してみれば分かるよ。行ってきな。」


 お兄さんに言われたようにソフィアさんという方の所に行きました。当の本人は視線を手元の書類に向けたままですが。……声をかけてみますか。


「すいません。依頼を受けたいのですが。」


 すると、ソフィアさんはゆっくりと顔を上げて、青い髪を耳にかけるように整えました。そして空色の瞳が私を捉えました。小柄ですが、とても可愛らしい方ですね。


「……おはようございます。それでは冒険者カードを見せていただいてもよろしいでしょうか?」

「分かりました。……これです。」


 ポケットの中から家から持ってきたカードを出してソフィアさんに渡します。


「Dランクですか。今日が依頼を受けるのは初めてですか?」

「はい。そうです。」

「では、忠告を。冒険者カードを見せてくださいと言われたときはランクと名前が分かるように表だけを私達に見えるようにしてください。その時にカードを手放さないように。あなたの個人情報を盗まれます。」

「な、なるほど……。」

「これくらいは自分で考えてください。じゃないと先が危ないですよ。」

「すいません……。」


 めちゃくちゃ怒られました。冒険者カードは表を向けた状態で返してもらえたのですが、それにしても口調が厳しいですね。


「で、どんな依頼が受けたいんですか?」

「討伐依頼を、お願いします。」

「ダメです。」


 ……え?ダメとかあるんですか?


「今のあなたの装備を見たところ、何も武器を持っていませんよね?それどころか防具も。それでしたら街中での雑用か街の近くで取れる薬草の採取くらいしかお勧めできませんが。」

「いや、私には魔法がありま……。」

「たとえ、魔法ができたとしてもDランクの魔法使いですよね?杖なしではその威力も魔物を倒せるほど強くない、お粗末な物です。せいぜいが魔物の注意を引く囮程度ですが、あなたにそんな大層なことができるはずがありません。なら討伐依頼のような身の丈に合わない依頼ではなく、分相応に先ほどあげた依頼を受けるべきです。」

「いや、私の……」

「それにもしあなたに連れがいるとしても、今のあなたでは足手まといです。一人で勝てる魔物も誰かを守りながらでは勝てません。最悪の場合、どちらも死にます。」

「ですから、私の……」

「いいですか?あなたは冒険者というものを、魔物というものをあまりにも舐めすぎています。討伐依頼でもモノによっては罰金が発生します。あなたに払えなければ、それはあなたのパーティーメンバーや家族に降りかかります。……想像できていますか?いえ、できていませんよね。別にあなたに理解しろなどというつもりはありません。が、とてもではありませんが討伐依頼をあなたに任せることはできません。」


 ソフィアさんはそこまで言うと話は終わったとでも言わんばかりに、いくつかの依頼表を窓口に置いて再び視線を資料に落としました。


 ……え?何ですか、この人?まったくこっちの話を聞いてくれないじゃないですか!こう見えても賢者なんですけど、私!!なんでこんな扱いを受けなきゃいけないんですか?しかもこの依頼、全部この街から出ないような奴じゃないですか!お使いとかがやりたいわけではないんですが?!


 窓口の前でワナワナと震えていると背後からお兄さんがやってきました。


「ソフィアさん、今日は僕が付き添うから簡単な討伐依頼を出してくれないかな?」

「……何ですか?あなたまで目が曇っているんですか?ソルさん。」

「いや、なに。一回くらい連れて行ってあげたいじゃんか。せっかく冒険者になったんだよ?」

「そうですか。……ではこちらで。これ以上の依頼はあなたの頼みでも回せません。」

「ありがとう。十分だよ。」


 その依頼表にははぐれゴブリンの討伐と書かれていました。

次話、ルナちゃんが戦います

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