溶けない雪だるま
貴方と行った雪まつり。
一角で小さな雪だるまを作ってカメラで撮り、専用のネットページへと投稿するフォトコンテストをやっていた、面白そうだと参加を決めた貴方と二人、猫みたいなマズルと耳のついた、ちょっと不恰好な雪だるまを作る。
なんと、発想を評価されて入賞した私たちには入賞の商品と一緒に、プリントアウトされて小さなフォトスタンドに入れられた不恰好な猫型雪だるまの画像が贈呈された。
「溶けない雪だるまだね。いつまでも、一緒にいて、いつまでも仲良しでいれる、そんな関係のあかしになるかな」
尻すぼみになりながら、真っ赤になって言う貴方が可愛くって可笑しくて、私は笑いを堪えながら、そうだねって返したけど、貴方は照れ隠しに失敗して不貞腐れてたね、慣れない気障なふりはやめればいいのに。
でもね、そんな照れ隠しをしながら、いつまでも私に好きって伝えて欲しかったよ。
「猫ちゃんは溶けなかったけど、僕はどうやら溶けちゃうみたいだ」
そんな風に無理に微笑みながら、強がってなんか欲しくなかった。
「きっと、君にお似合いの素敵な人が溶けない雪だるまになってくれるから、どうか泣かないで」
そんな風に、かっこよく気障なセリフを言って欲しくなんかないんだよ。
かっこわるくても、私のよこでいつも私を笑わせてくれる、照れ隠しが下手な貴方にいてほしかったの。
ねぇ、そっちには雪は降らないのかな。
雪だるまは溶けちゃうけど、溶けたらそっちに届くかな。
今度逢えたら、ちょっとは可愛く作れた猫ちゃん雪だるまを見ながら、可愛いね、って言ってほしいの。
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