違和感
こうして俺は『三千世界』のゲームをプレイした。
ゲームをするうちに殿と表示されていたキャラクターが主人公の父親と言う設定であることが分かった。
また他の登場人物についても知った。主人公は殿の愛人の子で母が亡くなってしまったので、都から遠く離れた場所で殿の家来の南サンサと暮らしていると設定だった。
サンサは癖っ毛の長い黒髪と黒目を持つ妖艶な美人で、だらしないところはあるが姉御肌で軍に所属している。まだ戦うシーンは出てきてないが、軍にいるだけあって戦闘能力は高いらしい。
まずエルフであるレイラ。主人公の母親の遠い親戚らしく、殿から目をかけられている。主人公からそのことであまり良く思われていない。髪はエメラルドグリーンの腰まであるストレートロング。それと同じ色の瞳を持つ。肌が白くて、無口でどこか儚い印象を与える美少女だ。
そして主人公とサンサとレイラの旅に加わることになるリュナ。明るく社交的な性格だ。
不思議なのはこの少女にだけ声がついていること、また他の登場人物明らかに決められた言葉しか話さないのに対し、彼女は音声でプレイヤーと的確な会話ができるということ。
それはまるでリュナに意思があるようで不気味なほどだったが、ゲームのストーリーも楽しかったし、
「君と話すのってすごく楽しい!このゲームの中の人は決められた言葉しか話さないんだもん!」
画面の中の彼女と話す時間は楽しかったので、俺は最近のゲームはすごいんだなぁなんて無理矢理自分を納得させた。
キャラクターデザインなどはどのヒロインも魅力的に書かれているが、当たり前といえば当たり前なんだろうが、他の登場人物は声もついてなきゃ意思疎通も取れない。変に明日葉リュナにだけ気合が入ったゲームだなと思った。
しかし、次の日サスケと高校で話すと違和感に気がついた。
「『三千世界』プレイし始めたけど中々興味深かったよ。リュナが印象的でさ」
「リュナ?そんなキャラクターいたっけ?」
「…え?メインヒロインの一人の明日葉リュナだよ。一番気合が入ってる」
「ああ、明日葉シュナな」
「え?いやいや明日葉リュナだよ。あの明るい性格の」
「名前、間違えて覚えてないか?それに明日葉は明るい性格か?まあレイラに比べれば明るいけど愛想笑いとか滅多にしないキャラだし、武人っていう感じじゃない?」