6話
俺の勤めている会社は、子会社である。
なのに、親会社の社長の息子が、ここで勤めている。人を悪くは言いたくないが、仕事は全く出来ない… 何度フォローしたことか…
なのに、何故か彼は俺の事を目の敵にしている節がある。不思議で仕方ない…
今日も、めんどくさい彼の相手をしながらも仕事を終え、帰宅する。
「はぁ~、疲れた…」
まぁ、何故か体の疲れは殆ど無いのだけど、精神的に疲れた…
「コンビニ寄って、ご飯でも買って帰るか…」
いつもの、コンビニに寄ったとき…
「え…」
そこには、見かけない女性店員に包丁をむけている黒覆面がいた。
一瞬、回れ右して帰ろうかと思ったが、見てしまったからには、見捨てるわけにはいかない。とりあえず、声をかけてみる。
「今の警察は優秀なので、止めといた方がいいですよ。」
「う… うるせぇ!!」
逆に刺激してしまったようで、俺めがけて、突っ込んできた。
ヤバっと思った時には、体が動いていた。
両手で握っていた包丁を蹴り飛ばし、体勢の崩れた黒覆面の片腕を掴み、そのまま後ろにねじりながら、床に倒していた。
「「「えっ!!」」」
俺含め、女性店員や黒覆面も驚いていた。
「おい、離せ!!」
黒覆面の叫びで俺も立ち直る。
黒覆面を無視し、女性店員に話しかける。
「すみません…」
「・・・」
「すみません!!」
「は… はい!!」
「怖い思いをしたところ悪いけど、警察に連絡して貰ってもいいですか?」
「わ…分かりました。」
すぐ警察は来てくれ、黒覆面は、そのまま連行されていった。
俺も、事情聴取をうけ、開放された。精神的にさらに疲れた俺は、そのまま何も買わずに帰ろうとした時、
「ちょっと、待ってください!!」
振り返ると、先程の女性店員がいた。
「私ですか? どうかしました?」
「あ… あの、助けてくれて、ありがとうございました!!」
これでもかって言うほど、頭を下げてくれる。
「…気にしないでいいよ。それよりも、怪我がなくて良かった。」
「わ… 私、早乙女華凛って言います!!」
顔を赤くしながらも、自己紹介をしてくるので、俺も一応名前を名乗っておく。
「私は、夢ヶ崎幸って言います。」
「夢ヶ崎さんですね… 夢ヶ崎さんは、ここのコンビニにはよく来られるんですか?」
「はい、よく来てますね。」
「そうなんですね!! 私、今日が初めての出勤だったんです…」
「そうなんですね…」
「でも、悪いことばっかりじゃ無かったんで、もう少し頑張ってみたいと思います!!」
「? はい、頑張って下さい。」
「私まだ、仕事があるので、失礼します。本当にありがとうございました。」
そう言って、早乙女さんは、コンビニに戻っていった。
見送った俺も、自宅に戻り、ストックしておいたカップラーメンを食べ夕食を済ました。
その後は、お風呂に入ったり、アニメを見たり、だらだらと過ごし、気づいたら、23時をまわっていた。
そろそろ寝るかと、※¶§*のカードを持ち、枕の下に敷き、夢の中へ旅立った。