46話
2人が、離れたのを確認してから、レーヌさんに話を切り出す。
「それで、話なんですが…」
「魔族の方たちの事ですね…」
「はい。今回は、大丈夫でしたが、私もここにずっといる訳ではないですから。それに、近々別の所に行ってみようかとも思ってます。それに、次はより強力な魔族がやって来るかもしれません。」
「そうかもしれませんね、そうなると私たち妖精族は終わりでしょうね…」
「だと、思います。ですから、とある魔法を使わせてくれませんか?」
「とある魔法ですか?」
「はい、そうです。」
そう、昨夜覚えたあの魔法だ。
「分かりました。」
「…使う魔法を聞かなくて良いんですか?」
「はい。私もそれに、娘のティアもコウさんの事を信用していますから。」
「!? …そうですか、分かりました。ありがとうございます。持てる全ての力を使い、やらせて貰います。」
「頼んでばかりですみませんが、お願いします。」
「気にしないで下さい。俺がしたいからやっているだけなんで。それでは、早速やらせて貰います。では、失礼しますね。」
俺は、レーヌさんに挨拶してから、天歩を使い空へと飛び上がって行く。
「このくらいの高さでいいかな?」
森が一望できる程度の高さまで上がり、結界を使い足場を作り出す。
俺は、深呼吸をして、心を落ち着ける。
「よし、やるか!!」
森にむけて、手を突き出す。魔法発動前にどんどんMPが削られていく。今あるほとんどのMPを使いきったせいか、目眩や眠気がヤバい。それに耐えながら俺は、魔法名を唱え、発動させる。
「神代魔法:新世界」
成功した手ごたえを感じる。結界維持もきつくなってきた為、俺はすぐに、地上に戻る。
新世界… 膨大なMPと引き換えに、新たな世界を創り出す、神代魔法だ。MP消費スキルを覚えたおかげで、ギリギリ使うことが出来た。でも、本当にギリギリ使えるかどうかだった為、新世界と呼ぶにはつたない程狭い世界しか創り出さなかった。今回創った世界は、この森と同じくらいの広さしかない。まぁ、これは随時MPを送ることで、世界を広げることが出来るので、暇な時に、広げるとする。
降りてきた、俺のもとにレーヌさんだけでなく、アルやティアが近寄った来た。
「コウ、大丈夫なの?」
「コウさん、今の魔力は何ですか!!」
「コウさん、大丈夫ですか?」
「あぁ、大丈夫だ。説明は後でするから、とりあえず寝かせ… くれ…」
俺の意識は、そこで途絶えた…
◇
目が覚めると、日が暮れかけていた。
今、俺は出していた椅子の上に横になっていたらしい。
「コウ、起きたの!!」
「コウさん、起きたんですね… 私、お母様を呼んできます。」
「あぁ、頼むよティア。」
ティアがレーヌさんを呼びに行ってくれる。
「アルも迷惑かけたな。」
「気にしてないの!!」
「そうか、ありがとうな。」
頭を撫でてやる。
「えへへへ~」
そうこうしている内に、
「お母様、呼んできました!!」
レーヌさんを連れて、ティアが戻ってきた。




