42話
作戦に必要なスキルをちゃんと、覚えれた。
「何から何まで、ありがとうございました、シュテルさん。そろそろお暇させて頂きます。」
「もう、お礼は、いいのに… 分かったわ。無茶はしないようにね。」
「はい。それで、その…」
「どうかしたの、コウ?」
「どうやって帰ったら、いいですか?」
「あぁ、普通にスキルを解除したら帰れると思うわよ。」
「そうですか、ありがとうございます。それじゃあ、また今度来ますね。」
「了解。待ってるわ。」
俺は、大図書館を解除すると、来た時同様の浮遊感の後、自分の体に戻っていた。
アルもティアも、まだ俺の上で寝ている。
ふと、空を見やげると、地球でいう所の月のような物の位置が大図書館を使う前と比べると殆ど変わっていないように見えた。
体感では、むこうで数時間ほど過ごしたと思ったけど、気のせいだったのか… それとも、むこうとこっちで時間の流れが違うのか… 今度、シュテルさんに聞いてみよう。
「ふぁ~あ。」
眠くなってきたので、考えるのをやめて、眠ることにした。
◇
俺の方へむかって来ている気配を感じたので、目を覚ます。
アルとティアは、まだ寝ている。日は、登って間もないくらいだ。
2人を起こさないように、体を起こす。気配感じた相手は、すぐに表れた。
「コウさ…「しー!!」」
レーヌさんは、どうやら、慌てているようだったが、2人はまだ寝ているので、静かにして貰うよう合図を出す。
「す… すみません。」
「いえ、それでどうかしましたかレーヌさん?」
「それが、魔族の方が棲み処の外に来てます!!」
「魔族ですか?」
もう、応援でも派遣されたのか?
気配察知の範囲を広げるが、それらしき反応はな… いや、この反応は…
俺は、2人を起こさないように、椅子から立ち上がる。
「とりあえず、そこに案内して貰ってもいいですか?」
「こっちです!!」
レーヌさんの後に続いて、魔族のもとへむかう。
その魔族は、その場で待機していた。足元には、魔玉のカケラが積み重なっていた。魔族は、俺を見ると同時に、
「解体が終わりました…」
そう言ってきた。
「こ… コウさん、どう言う事ですか?」
レーヌさんが、不思議そうに聞いてきた。
あ!! そう言えば、レーヌさんには、俺の特殊なスキルで魔族の対処をした事は伝えていたが、催眠・魅了を使った事を伝え忘れていた。
「レーヌさん、これは…」
魔族に催眠・魅了を使ってある事を伝えた。
「そ… そんな対処の仕方だったんでね。」
「はい。伝え忘れていて、すみません。」
「いえ大丈夫です。」
それにしても、この魔族… えっとトレだったか?
俺が命じたとはいえ、あれだけのモンスターからもう魔玉を取り出したのか? よく見たら、完全な魔玉もあるみたいだし、トレの顔も何だかやつれているように、見える。むこうが悪いとはいえ、少し罪悪感が芽生える。だから取り合えず、
「完全回復」
回復魔法をかけておく。
「ありがとうございます… それで、こちらが解体した魔玉なります… 」
「あぁ、ありがとう。」
魔玉をアイテムボックスに入れておく。
「この後は、何をしたら宜しいでしょうか…」
「その前に、モンスターの死骸はどうした?」
「牛男や灰色狼の死骸は、何かに使えるかもしれないと思い森の外に、緑小鬼の死骸は燃やしました…」
「分かった。なら、そこに案内してくれ。」
「分かりました… こちらになります…」
「レーヌさん、少し出て来ます。アルが起きたら、私は森の外にいる事を伝えておいて下さい。」
「わ… 分かりました。気をつけて下さい。」
俺は、トレと一緒に森の外にむかった。




