38話
妖精と人との違いを改めて実感する。
「火を扱うのなら、そちらの開けた所をお使い下さい。」
「分かりました。」
レーヌさんに、言われた所に移動する。
魔法使用の了承を得てから、俺は、土魔法を使い、座る場所や作業する為の机もどき、それと、高さ10cm程の土壁を2ヶ所作る。
「アル、悪いけど焚き火用の枝を集めて貰ってもいいいか?」
「はいなの!!」
アルに木を集めて貰っている間に、アイテムボックスから、まな板や包丁、皿そして、道中倒して解体しておいた突進猪の肉を取り出し、机もどきの上に置き、1口大に切っていく。切り終えた頃には、焚き火用の枝も集まっていた。アルにお礼を言いながら、先ほど作っておいた、高さ10cm程の土壁の真ん中に、枝を置き、名一杯加減した火魔法で、火をおこす。ある程度火が強くなると、更に、フライパンと油、塩コショウを取り出し、フライパンの上に油を垂らし、フライパンを少し熱した後、切った突進猪の肉を焼いていく。辺りに肉の焼ける香ばしい匂いが漂う。
『料理スキルを覚えました』
ただ焼いただけで覚えたスキルに苦笑いしながら、塩コショウで味を整え、皿に盛り付ける。
「よし完成だ。それじゃあ、アル早速食べようか。」
「はいなの!!」
アルにも、皿を渡す。俺は皿を膝の上にのせて、手を合わせ、
「いただきます。」
と、言ってから食べ出そうとすると、アルが不思議そうに、こちらを見ていた。
「どうかしたか、アル?」
「それは、何なの?」
「それ?」
いったいどれの事だ?
「さっきの、いただきます? ってやつなの!!」
そう言えば、カップ麺食べる時に、教えてなかったっけな。
「あぁ、それか。ご飯を食べる前の挨拶みたいなものだよ。食べる前に、いただきます。食べ終えた後は、ごちそうさま。アルも一緒にやってみるか?」
「はいなの!!」
「「いただきます。」」
今度は、2人でいただきますをしてから、食べ始める。
「美味しいの!!」
「そうだな、美味しいな。」
地球で食べた猪肉よりも、臭みが少なく、美味しかった。
「果物持ってきました!!」
声のしたほうを見てみるとティアが、ギリギリ持てるくらいに大きい緑色の果物を持ってきてくれた。すぐに、受け取る。
「これは、何て言う果物なの?」
「グリンアプルです。たまに、甘い物もあるのですけど、殆どが少し酸っぱくて、私は、ちょっと苦手なんです…」
「そうなんだ。それにしても、グリンアプルねぇ…」
見た目は、完全に青リンゴだ。魔法剣を生成し、切って食べてみる。
確かに、酸味の方が少し強いが、味はまんま青リンゴだ。
「食べてみたいの!!」
アルも興味があるようなので、切った物を口にいれてやる。
「ちょっと、酸っぱいの…」
あまり、おきに召さなかったようだ。
その後もティアに続いて、妖精たちも、次から次へと持ってきてくれたので、机もどきの上にグリンアプルの小山が出来あがった。




