37話
俺は、起こった事を話終えた。
「ってな感じで、その魔族に後処理を頼んで帰ってきた感じですね。」
「…大変失礼ですが、コウさんは本当に人間ですか?」
レーヌさんは、至って真面目な顔で聞いてきた。
「…私は、ちゃんと人間ですよ(たぶん)。」
最後は、心の中でとどめておいた。
「そうですよね… すみません、そして、ありがとうございます。」
「ありがとうございます。」
レーヌさんとティアが揃って頭を下げてくる。
「私たちが勝手にやった事なので、気にしなくても大丈夫ですよ。ですから、頭を上げて下さい。」
「それでも、助けて頂いた事には代わりありません。お礼になるかは、分かりませんが、私たちが出来る事なら何なりと申して下さい。」
「なら、レーヌさんの棲み処で、休ませてくれませんか?」
日も、傾きだしているし、最初の目的を達する為、そう提案してみる。
少し渋るかと思ったが、レーヌさんは、
「分かりました。是非とも、私たちの棲み処で、休んで下さい。」
全然渋る事なく、許可を出してくれる。
「提案して、あれですけど、本当にいいのですか?」
「はい、構いません。コウさんたちは、私たち妖精族の恩人ですし、それに、コウさんが強行突破しようとしたら、正直私の妖精結界でも、コウさんたちを止める事も出来ないと思いますしね。」
ウインクしながら、そう言ってくる。
「…そんな事しませんよ、レーヌさん。なら、お願いします。」
「はい。なら、ついて来て下さい。」
そう言うと同時に、妖精結界が消えた。
俺は、アルを抱えて、レーヌさんたちの後に着いていった。
しばらく歩くと、レーヌさんたちは、止まった。
「ここが、私たち妖精の棲み処です。」
「おぉ…」
そこは、俺が思っていたきらびやかな空間ではなく、普通の森と一緒だった。
「森と変わらなくて、ビックリしましたか?」
レーヌさんが、聞いてくる。
「正直言うと、そうですね…」
「私たち妖精族は、人間などと違って特定の家を持ちません。」
「そうなんですか?」
「はい。まぁ、正直に言うと、建築技術がないだけなんですがね。」
ガクッと、ずっこけそうになった。
「コウ、お腹減ったの…」
「そうだな、ご飯にするか。レーヌさん、火をおこしても良いですか?」
「はい、大丈夫ですよ。本来なら食事も用意したい所なんですが、人間たちとは、食べる物が違うと思うので… ですが、果物なら用意出来ますが、用意させましょうか?」
「はい、お願いして良いですか?」
「分かりました。すぐに用意しますね。」
それと、気になった事を聞いてみた。
「それと、1つ聞いて良いですか?」
「何ですか?」
「妖精たちは、いつも何を食べているのですか?」
「私たちの食べ物ですか? 花の蜜や樹液とかですかね。後、先ほど言った、果物などを食べたりしますね。」
「そうなんですね…」
なるほど、レーヌさんと言った通り、俺たちが食べる物とは少し違うようだった。




