36話
まぁ、魔王帝の事はおいとくとして、
「それで、結局戦争する理由は何なんだ？」
「魔王・ドヴァー様は、魔王序列第２位なんです…」
「それがどうかしたのか？」
「ドヴァー様は、それが気に入らないんです… そして、ひいては魔王帝の座を狙ってるんです…」
どうやら、この世界でも、欲が強い奴は、強いみたいだ。
「…それで、アジンだっけ？ そいつの序列は何位なんだ？」
「魔王・アジン様は、魔王序列第１位です…」
「…その順位は、どうやって決まってるんだ？」
「その人の強さです…」
「…なら、ドヴァーはアジンに勝てないんじゃないのか？」
「本来なら無理ですが、ドヴァー様は、既に序列第３位のトゥリー様と序列第４位のチィトゥィリ様と協定を結びました…」
「数で押しきるつもりか？」
「はい… ですが、念には念をいれて、配下の数を増やしている所です…」
「なるほどな…」
その後も、様々な話を聞く。
「俺が聞きたいことは、これくらいかな。ティアは、何か聞きたい事とかあるか？」
「いえ、ありません。」
「なら、えーと… トレだっけ？」
「はい…」
「短剣とか持ってるか？」
「はい…」
「なら、悪いけど倒したモンスターの魔玉の取り出しをお願いしてもいいか？」
「分かりました…」
トレは、魔玉の取り出しにむかった。
「なら、ティア戻ろうか？」
「はい！！」
ティアが飛んでいこうとするが、
「ティア、ちょっと待ってくれ。」
「どうかしました？」
「試したい事があるんだ。」
「試したい事ですか？」
「あぁ。」
そう言って、先程までいた妖精結界の前の場所を思い浮かべる。
何となくだが、行けそうな気がした為、
「ティア、こっちに来てくれ。俺の肩に乗ってくれ。アルはそのままで。」
「？ 分かりました。」
「はいなの！！」
ティアは、肩に乗り、アルはよりいっそう抱きつく。
俺は、空間魔法を発動する。
「瞬間移動」
一瞬で、風景が移り変わり、妖精結界の前に移動した。
「よし、成功だな。」
「て… 瞬間移動。これってまさか、空間魔法ですか？ コウさんって本当に多才なんですね！！」
「まぁ、色々あるんだよ。」
「そうなん…「ティア！！ コウさんたちも…」…ですね。」
そこには、レーヌさんが待っていた。
「お母様、今帰りました！！」
「おかえりなさい、ティア。怪我とかがないようで、安心しました。」
「コウさんたちも、娘が迷惑をかけませんでしたか？」
「はい。逆に、危ない所を助けて貰いました。」
「そうですか…」
少しだけ、誇らしげな顔をしている。
「それで、戻って早々で悪いのですが、魔族はどうなりましたか？」
「倒してはないですが、しばらくは大丈夫だと思いますよ。」
「それは、いったいどういう事ですか？」
俺は、起こった事をレーヌさんに話始めた。
