32話
俺は、アルを抱えたまま、その場で高くジャンプした。減速しだすと、足元に、結界を展開する。その結界を、足場にして更に高く飛ぶ。ある程度の高さまで来ると、結界の上から気配のする方を、見渡してみる。
「大群なの!! 敵さんいっぱいなの!!」
「そうだな。」
至るところに、緑小鬼や灰色狼などのモンスターが無数にいた。
遠眼を使い、魔族の気配のする方を見てみる。
一番奥に、魔族の姿を確認する。あの3人組より身なりのいい格好をしている。あれがジドが言っていた、トレって奴かな? 鑑定眼も、併用してみる。
名前:トレ・フォース 種族:魔族
年齢:80 性別:男 職業:獣魔士
LV:45 HP:540 MP:880
STR(力):200+10 DEX(器用):250 DEF(防御):270
AGI(敏捷):210 INT(知力):280 MND(精神):330
LUK(運):35 CHA(魅力):40
スキル:身体強化Ⅱ、魔力強化Ⅰ、魔力操作Ⅱ、気配察知Ⅱ
火魔法Ⅱ、従魔法Ⅲ、鞭術Ⅱ、獣魔強化Ⅱ、召喚魔法Ⅱ
称号:魔物使い 四騎将
どうやら、俗にいうテイマーだ。てか、年齢が80歳って、おじいちゃんやんけと心のなかでツッコミつつ、魔族の確認も終えたので、遠眼を解除する。
モンスターの大群は、もうそろそろ、妖精結界まで到達しそうなので、まずはその対策をする事にした。
大半のモンスターを覆えるように、複数の半球状の結界を展開し、そこに閉じ込める。これで、妖精結界への到達を防ぐ。ついでに、モンスターも倒すか。
「水球」
無数の水の球を作り出し、下で蠢くモンスターたちにむけて落とす。
水球は、蠢くモンスターに直撃して、みずを辺りに撒き散らす。頭の中で、LVアップの声がしたので、直撃したモンスターは即死したみたいだ。だけど、まだ、うち漏らしがいるため、更に追い討ちの魔法を行使する。
「落雷」
魔法で作り上げた雷が、水浸しになっている所に次々と落ちていき、うち漏らしたモンスターを一掃する。
『複合魔法スキルを覚えました』
いつものスキル取得の声が流れる。
「…こんなもんかな。」
「アルも闘いたいの!!」
「まだ、残ってるから大丈夫だぞ。」
「本当なの?」
「あぁ、それじゃあ、残っている奴の所へ行こうか?」
「行くの!!」
再び、アルを抱えたまま、ジャンプ・結界コンボを使い、かなりのスピードで空を駆けていると、
『天歩、瞬動術スキルを覚えました』
また、新しいスキルを覚えた。
これにより、結界を使わなくても、空を駆ける事が出来るようになった。
「速いの!! コウ、凄いの!!」
「もうそろそろ、着くから、舌を噛まないようにな。」
「はいなの!!」
俺は、更に瞬動術も使い、一気に魔族の前に着地する。




