31話
結界術を色々試していたら、ティアが戻ってきた。横には、ティアより、頭3個分ほど大きい妖精が、一緒だった。何となくだが、雰囲気が似ているので、あれがティアのお母さんつまり、妖精女王だろう。見るからに、体調が悪そうだ。
アルを抱えたまま、ティアたちのいる結界前まで近寄る。
すると、妖精女王が話しかけてくる。
「あ… 貴女が、娘の言っていた人でしょうか?」
「はい、そうだと思いますが、どうかしましたか?」
何故か、驚いた顔をしている。
「貴女は、本当に人間なんでしょうか?」
またかと思いながら、そっとステータスボードを出して、見せてあげる。
「…確かに、人間ですね。疑ってしまって、すみません。私が、この森で、妖精の棲み処の長をしています、妖精女王のレーヌと申します。」
「レーヌさんですね。私が、コウです。宜しくお願いします。それで、こっちが…」
「アルなの!! 宜しくなの!!」
アルが元気良く、自己紹介する。
「…はい、宜しくお願いします。それで、娘に聞きましたが、コウさんは、私たちの棲み処を見たいと聞いたのですが、何故でしょうか?」
理由を聞いてくるのは、いいのだが、レーヌさんのかなり顔色がかなり悪い。結界越しで、使えるか分からないが、先に回復魔法を使ってみる事にした。
「すみませんが、先にちょっと回復してみますね。完全回復。」
レーヌさんの身体が光だし、光がおさまると、レーヌさんの顔色のは良くなっていた。結界越しでも、ちゃんと、発動したようだ。
「こ… コウさん、今のはもしかして…」
ティアが聞いてきたので、答える。
「あぁ、回復魔法だよ。レーヌさんの顔色が悪かったから使ったけど体調はどうですか?」
回復魔法をかけられた本人に聞いてみる。
「え… あぁ、さっきまでの疲れが嘘のように無くなりました。」
「それなら、良かったです。」
「あ… ありがとうございます。」 「ありがとうございます、コウさん!!」
2人は、一緒に頭を下げてくる。
「お… いえ、私が勝手にやった事なので、気にしないで、下さい。それより、棲み処を見てみたい理由でしたね。それは…」
理由を答えようとした時、もの凄い勢いで、迫ってくる気配を感じる。気配は、1つではない。下手したら数匹… いや数十匹の気配が一斉にこっちへむかって来ている。しかも、気配はモンスターだけではなく、先程の3人組と同系統の気配を感じる。
「…すみませんが、話は後でいいですか?」
「どうかされたんですか?」
「どうやら、招かざる客が来ているようなので、ちょっと片付けてこようかと思いまして…」
「それは、どういう…」
「アルも手伝うの!!」
「ならアルも、一緒に行こうか?」
「はいなの!!」
「!? まさか魔族ですかコウさん!!」
俺は、無言で頷く。
「それじゃあ、行ってきますね。」
俺は、アルを抱えたまま、その場で高くジャンプした。




