27話
さて、どう説得したものか… 少し頭を悩ませていると、ティアが尋ねてくる。
「こ… コウさんは、もしかして、ポーションを持ってたり、回復魔法を扱うことが出来ますか?」
「ポーションは、持ってないけど、回復魔法は、一応使えると思うけど…」
妖精女王の回復をする為か?
「そ… それなら、お母様を説得出来るかもしれません… 私に任せて下さい!!」
「そうか、なら頼むよティア。だけど、妖精族に、回復魔法を使える者はいないのか?」
「いえ、使える者もいるのですが、その者も、お母様の付きっきりで、倒れてしまいまして…」
「そうか。それにしても、その結界を維持するのはそんなに疲れるのか?」
「いつもの結界なら、そこまで疲れる事はないのですが、魔族がいつ襲って来るか分からない状態なので、いつもより強固な結界を、お母様は、殆ど寝ずに維持してるんです。」
「成る程ね。それは、疲れるわな。」
それにしても、里の大きさがどの程度なのか分からないけど、それを、ほぼ寝ずに維持するなんて、妖精女王とやらは、凄いな。
「それじゃあ、今から、案内しますね。森には、モンスターが出るので気を付けてくださいね。まぁ、あんなに強いコウさんに言っても意味ないと思いますけど…」
今のところ、自分の強さをいまいち理解していないが、ティアのあの言い方だと、そこそこの強さのようだな。
「…分かった。それじゃあ、案内を頼むな。」
「はい。こっちです。」
俺は、アルをおろしてから、ティアについて行き森へ入る。
気配察知にも、だんだんなれてきたので、少しずつ察知範囲を広げてみる。
すると、前方と左右から複数の気配を感じた。
「ティア、止まれ。」
「どうかされました?」
「もう少ししたら、何かがやって来る。たぶん、モンスターだ。数は、前から4匹、左右に2匹ずつだ。」
「わ… 分かりました。」
ティアも警戒しだす。
「アルもやるの!!」
アルがやる気をみせる。どうするか、少し迷ったが、アルのLVもあげておきたいので、了承する。当然、細心の注意を払うつもりだ
「…分かった。ならティアは左、アルは右を頼むな。前は、俺が相手にする。」
「分かりました。」
「はいなの!! その前にコウ。戦う前に、魔法が欲しいの!!」
魔法? あぁ、あのスキルを使うからか。火は森に燃え移る可能性があり、危ないから、風にでもするか。
「アル、風でいいか?」
「大丈夫なの!!」
「なら、風球」
俺の手の上に、風の球が、現れる。
「ありがとうなの!! モード:風鎧なの!!」
すると、風球が縮んでいき、アルの身体に纏わりつく。完全に、風球が消えると、アルは、うす緑色の鎧のような物を纏い、髪もうっすらと緑色になっていた。
どうやら、髪の色まで変わるらしい。
「これで、万全なの!! 敵は、ボコボコなの!!」
「無詠唱… それに、アルさんのそれは、何ですか?」
不思議がっているティアに、アルのスキルについて、簡単に説明していると、モンスターが現れた。




