21話
高緑小鬼が1体と緑小鬼が5体か。
確認の終えた俺は、遠眼を解除する。
高緑小鬼たちは、俺たちに、気づいているのか、こっちに、むかって来ている。さて、どうしようかと、思っていると、俺の横から、
「あ、敵さんなの!! ボコボコなの!!」
と言いながら、アルが駆け出そうとする。俺はすぐに後ろから持ち上げる。
「どうしたの、コウ?」
アルは、不思議そうに見てくる。
「…ここは、俺がやりたいから、譲って貰っていいか?」
「了解なの!!」
アルは、笑顔で了承してくれる。俺は、アルをおろす。
でも、アルには、あぁは言ったけど、どうするか…
今の俺は、武器を持っていない。しいて、武器といえるのは、アイテムボックスに入ってある包丁くらいだ。
この場で、剣なんかが作れたら楽なんだけどなぁと思っていると、頭の中で、声が聞こえる。
『魔法剣生成スキルを覚えました』
そっと、スキルボードを確認したら、頭の中の声が言っていた通り、新しいスキルを覚えていた。
魔法剣生成 ・・・ MPを消費し、魔法剣を生成する事が出来る。目につく範囲に、魔法剣を生成する事も可能。
確かに、称号の祝福のおかげで、覚えやすくはなっている筈だけど、シュテルさんこれは、甘くないですかね…
まぁ、だけど、スキルを覚えて悪いわけではないので、早速覚えたスキルを使う事にした。
使ってみると、手元に、ナイフほど長さのの魔法剣が現れた。どうやら、思った通りのサイズで魔法剣を作れるようだ。次は、ナイフの強度を確かめる為、こちらにむかって来ている、緑小鬼にむけて、投げてみた。
ナイフは、緑小鬼たちの横を通りすぎ、緑小鬼後ろにいた、高緑小鬼の頭に深々と突き刺さった。そういえば俺、コントロール、あまり良くなかったな… すると、再び、頭の中で声が聞こえる。
『投擲スキルを覚えました』
もう、言葉にならないよシュテルさん…
すると、高緑小鬼が音を立てて倒れた。倒れたと同時に、力が漲り、あの声がし、
『LVが上がりました』
どうやら、LVも上がったらしい。
緑小鬼は、高緑小鬼が倒された事に気づいたのか、森の方へ逃げようとしていた。襲ってきたので、逃がすのもあれなので、投擲スキルを試すついでに、ナイフ型の魔法剣を両手に複数作り出し、緑小鬼にむかって投げつける。今度は、先程と違い、狙った場所にナイフが飛んでいって、緑小鬼に頭に、深々と突き刺さった。緑小鬼は、雄叫びをあげながら、倒れていった。
『LVが上がりました』
また、上がった。
「コウ強いの!! 最強なの!!」
「おっと!!」
緑小鬼を、倒すのを見ていたアルが飛びついてきながら、褒めてくれる。
俺は、アルが落ちないように、抱えながら、苦笑いを浮かべ、アルの頭を撫でてやった。




