18話
扉を潜ると、そこは何もない真っ暗な空間だった。
自分の体も、扉の外の光で見えるくらいだ。
すると、突然自分の体が、光だし、だんだん足元から光の粒子になっていく。
驚いて、引きかえそうと振り返るも、扉は既に無くなっていた。
その間も、徐々に俺の体は、光の粒子になっていく。焦るが、既に足が光の粒子になっていて、動く事も、出来なくなっていた。全てが光の粒子になる前に、俺の意識は途絶えていた。
◇
体を揺すられる感覚で、目を覚ます。
目が覚めると、目の前に、見しらぬ子供の顔があった。
見てみると、やはり知らない幼女だった。
「あ、コウ起きたの!!」
どうやら、むこうは、俺の事を知っているみたいだ。
だけど、俺はやっぱり、分からない。だから、
「…誰?」
「ガーーーン!!」
ショックを受けていた。俺は、とりあえず体を起こし、周りを見渡す。何となく、見に覚えのある草原だった。どこで見たのか思い出していると、
「もう、聞いてるのコウ!!」
「ん?」
俺が、思い出そうとしている間も、何か喋っていたのか、聞いていなかった俺に少し怒っている。そういえばと、俺は、気になっていた事を尋ねる。
「それで、君は誰なんだ?」
「さっき言ったの… アルなの…」
「…アル?」
よく見てみると、その子供は、白い髪に毛先だけがやや金色がかっており、見に覚えのあるウサギの耳が、垂れ下がっている。
アル… あのウサギの? この時には、地球で見ていた頃の、あの夢を思い出していた。
「ほ… 本当にアルなのか?」
「そうなの!! 思い出したの!!」
思い出すも何も、俺はウサギ姿のアルしか知らないんだが…
「あ… アル、お前人になれたのか?」
「神様にお願いしたの!!」
神様… シュテルさんの事か?
「あ、そうなの!! コウに、これを渡すように頼まれてたの!!」
そう言って、俺は、自称アルから、手紙を預かる。
開けて、中を見てみる。どうやら、シュテルさんからだ。
"これを見ているということは、無事にたどり着けたみたいね。行く前にも言ったけど、その世界では、コウの好きなように生きるのよ。それじゃあ、私は、楽しみにコウの事を見守ってるわ。それじゃあね。 追伸 手紙を持たせたのは、貴女が夢であってたウサギよ。彼女の願いもあって、コウと一緒にそちらに送ったから、一緒に頑張ってね。 シュテルクストより"
チラッとアルを見てみる。
見ている事に、気づいたのか、ニパーと笑っている。
「…本当にアルなんだな。」
「そうなの!! アルなの!!」
アルは俺の胸元に飛び付いて、頭を擦り付けてくる。
何となくその行動がウサギのアルのままだったので、いつものように、頭を撫でてやる。
「えへへへ~。」
アルは笑顔を浮かべている。
「そういえば、アルは何で俺についてきたんだ?」
「コウと一緒にいたかったからなの!!」
「そうか…」
少し、恥ずかしくなり、再び頭を撫でる。
てか、アルって、女の子だったんだな…
「なら、アルは俺について来るって事でいいのか?」
「そうなの!! ついていくの!!」
「それじゃあ、改めて宜しくなアル!!」
「宜しくなの!!」
こうして、異世界に来て早々、俺には、連れが出来たのだった。