15話
「行ったわね…」
コウとは、短い付き合いだったけど、楽しかったわね…
私が感慨に耽りながら、あの子も異世界に送ると、
「君が、目にかけるのも珍しいね?」
「来てたのね。」
「まぁね。」
振り返ると、そこには、小学生ほどの男の子… 地球の神がいた。
「それで、僕にやって貰いたい事って、もしかして、彼に関しての記憶を消すことかい?」
「えぇ、そうよ。お願い出来る?」
「お安いご用さ。少し時間がかかるけど、いいかな?」
「えぇ、構わないわ。」
「それじゃあ、始めるね。」
地球の神は力を使い始める。
お茶でものみながら、待っていようかと思っていると、
「すみませ~ん!! 誰かいますか!!」
誰かがやってきた。
カウンターの方に出てみると、女性が1人入ってきていた。
「貴方は?」
「・・・」
反応がない。
「貴方は?」
「あっすみません、私は、館花朱里って言います。」
「館花さんね。それでどうかしたの?」
「つかぬこと、お伺いしますが、夢ヶ崎幸って人知りませんか? 確か、何度かここに来たことがあると思うんですけど…」
コウの知り合いなのね…
「確かに、来てた思うけど、その人がどうかしたの?」
「その人を探していまして、ここにいるんじゃないかなぁと思ったんですけど…」
「そう… その人は貴方にとってどんな人なの?」
「え、いや… その… 」
顔がどんどん赤くなっている。
「…その人は、私の好きな人です…」
小さな声で、そう答えてくれる。
顔はこれでもかという程、真っ赤だ。
「ふふ、本当にその人の事が好きなのね。」
「はい…」
「でも、ごめんなさい、ここにはいないわ。」
「そうですか… すみませんでした… 私は、次を当たってみます。」
そう言って、店を出ていった。
「彼女、数日中に死ぬよ。」
バッと振り返ると、地球の神がたっていた。
「あぁ、仕事は、ちゃんと終わったよ。もう少ししたら、彼の事はきれいさっぱり、忘れられる筈だよ。」
「そう、ありがとう。それで、さっき言ったことは、どういうこと?」
「さっき言ったこと?」
「あの子が、数日中に死ぬって言ったでしょ。」
「あぁ、その事ね。そのままの意味だよ。僕も一応、この世界の神だからね、分かるんだよ。」
「そう…」
「それじゃあ、僕はこれで失礼するね。」
そう言って、地球の神は、消えていった。
それを確認した私は、すぐに彼女の後を追う。
彼女は、扉の近くで立ち止まっていた。どうやら、電話?という物をかけているみたい。私は、迷わず声をかけた。
「館花さん!!」
「え… さっきのお店の方ですよね? どうしたんですか?」
「電話中にごめんね。」
「いえ、出なかったんで、大丈夫です。それで、どうしました?」
「貴方に聞きたい事があったから、来たの。」
「私に聞きたい事ですか? 何でしょうか?」
「貴方は、夢ヶ崎さんを探しているのよね?」
「はい、そうですけど…」
「もし、その夢ヶ崎さんが、この世界にいないとしたら、貴方はどうしますか?」
「…それはいったいどういう事ですか?」
「そんな怖い顔しないで、仮定の話よ。」
「す… すみません… 仮定の話ですか…」
「えぇ、そうよ。貴方は、それだも、その人を探すの?」
「…それでも、私は探します。」
彼女は、覚悟を決めた顔をしていた。
「そう… 貴方の意思は、分かったわ。そういえば、自己紹介をしてなかったわね。私は、シュテルよ。何かあったら、いつでも頼って。」
そう言って私は、手を前にだす。
彼女は、少し躊躇いながらも、手を握ってくれる。
その後は、お礼を言われ、彼女はまだ探すとの事で、走り去っていった。