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15.冷音は猫が好きだから

 最終的に冷音が発見した頭蓋骨は、全部で五つになった。もちろん、状態の良いものはない。砕けて破片しか見つからなかったものもある。


 すべて遊歩道沿いの茂みの奥にあった。おそらく人為的なものなのだろう。何のために置いたものか、はっきりとした目的はわからないが、呪術めいたものを感じて気味が悪い。


「あれ、猫の頭蓋骨なのかなぁ……」


 芽衣が眉を顰めながら言う。損傷があるので如何とも判断しづらいが、聞いた話と照らし合わせれば猫だと考えるのが妥当だろう。


 部室棟外部。砂埃まみれの、コンクリート打ち放しの階段の三段目に海斗と芽衣は並んで座り、ぼんやりと冷音を眺めていた。


 冷音は部室棟前の地面にしゃがみ込み、目の前にきれいに整列させた頭蓋骨を人差し指で優しく撫でている。ここからは少し距離があるため、表情は読み取れない。


「新間垣、なんで骨のある場所がわかったんだろう……」


 海斗は答えを持たない。鼻から息を吐きだして、頬杖をついた。


「新間垣があれを仕込んだってことは……ないよね?」


「ないね。冷音は猫が好きだから。猫は殺さない」


「猫は、って……他のものなら殺す、みたいな言い方しないでよ」


「虫なら躊躇なく殺してたよ、昔から。黒いあいつとか」


「それは……なんとも頼もしいことで」


 芽衣も息を吐いて、抱えた膝の上に顎を置いた。つられて海斗も本日何度目かわからないため息をする。


「一体何が何やら、見当もつかないね」


 呆れたようにつぶやく芽衣の言葉には、完全同意するしかなかった。


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