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夕陽ヶ丘にくる夜に  作者: 深海うに
魔女の噂
11/17

11.寸隙

 ティロン。真っ暗な中に電子音が響く。


 小さなディスプレイの光が、部屋の一角を照らした。


 ティロン。立て続けに音が鳴る。


 散らばったプリント。積み上げられた本の山。脱ぎ捨てられた制服。投げ置かれた学生カバン。


 電気の消された真っ暗な部屋の中は、雑然としているのにどこか無機質で、まるで、そう。モデルルームを思わせる。部屋の主の存在をカムフラージュしているかのようだ。


 ティロン。電子音のその奥に、彼はいた。


 息を潜め、小さく小さく縮こまり――嗤っていた。


 ねっとりとした重い空気は下に溜まる。そうして何もかもに絡みつき、温度を奪っていくのだ。


 彼は嗤った。粘っこい空気を蠕動させながら、嗤う。


 心待ちにしていたのだ。これを、待っていたのだ。


 彼は嗤いながら、夜明けを待っている。


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