表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

怪談話

作者: 春名功武

「運転気つけてよ。ここ事故が多いみたいだから…」

「ああ。分かってる」

「ねぇ、あのトンネル何か薄気味悪くない?」

「気のせいだろ」

「ちょっとヤダ。花子、あんた顔色悪いよ」

「さっき、何かいた」

「マジかよ」

「花子、敏感だからな」

「このトンネル抜ければ山頂だから…」



「結構、人いるなぁ」

「カップルばっか。外、寒いし、車内にいようぜ」

「夜景見に来たのに意味ないじゃん」

「いいの、いいの。それよりさ、誰か怖い話して」

「もう~、何言い出すのよ。そういうのやめよう」

「花子、お前なんかないの」

「わたし、時々見えるだけでだから……」

「清正は何かない」

「なくはないけど」

「じゃひとつ頼むは」

「え~、本当にやんの。怖いよ。やめようよ」

「雪、うるせぇぞ。ドライブに怖い話はつきものだろう」

「もう~、男って勝手なんだから」

「はじめていいか」

「ああ」

「これは、俺が友達から聞いた話なんだけど。ある結婚を誓いあったカップルがいたんだ。そのカップルにはひとつ問題があって。彼氏の方が少々遊び人で、彼女は頭を悩ませていたんだ。そんな時にいつも彼女を支えてくれたのが、ひとりの女友達で。色々と相談に乗ってくれていたんだ。「二人を応援してるから」っていつも励ましてくれていたんだって。でもね、その女友達……」

「え、何々、怖いんだけど」

「陰で、その彼氏と体の関係にあったんだよ」

「キャ~、怖い」

「裏切りじゃないか。酷い事するなぁ」

「彼女は、その女友達に問いただしたんだ。そしたらね…」

「そしてら…」

「全く悪びれる様子もなく、あの男、本当軽いわ。別れた方がいい、って言ったんだって」

「えぇ~、怖い女だな」

「雪、どうしてあんたが泣くのよ」

「だって、だって……酷すぎるよ」

「すまん、すまん、ちょっと怖すぎたか」

「人間って、本当何考えてるか分かんねぇな」

「でも、いまだに信じられないよ。俺らも昔は…」

「キャー!何々?」

「眩しい」

「義勝、頭に刺さってる矢で、電気のスイッチ押してる」

「あ!すまん。またやっちまった」

「いい加減、矢に慣れろよ」



「外、明るくなってきたよ。そろそろ帰ろう」

「え~、まだいようよ」

「私、明日デートなの。夜更かしは肌に悪いし」

「じゃ帰るか」

「あ、お願い。来る時に通ったトンネルは通らないで」

「了解」

「ゴメンネ。あそこよく人間が見えるの」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ