転生してしまった、、、
俺にとっては普段通りの起床。パソコンの時計はすでに12時を回ってしまっている。いつも通りプレイしているゲームにログインし、デイリーミッションをクリアしていく。
これが俺の一日の始まりだ。なにをすることもなくとりあえずゲームをしている。
大学入試に失敗して以来、勉強する気力も、就職する気持ちも失ってしまった。そう、今の俺は所謂ニートなのだ。
今では将来のことも何も考えていない。ただただ何もかんがえず生きているだけだ。
ずっとこの状況が続いていくんだろう。と、この時の俺は思っていた……。
ある夏の日の朝、珍しく俺は早起きをした。俺が小さい頃から好きだったゲームの新作の発売日だったからだ。
普段外に出ないため、人目につくのは躊躇したが、できるだけ早くこのゲームをやりたいと思う気持ちが勝り、通販に頼ることなく自分で買いにいくことにしたのだ。
ゲームショップに行くと俺は他のものに目もくれず、一目散に目的のものの売り場へ走っていた。
「レシートはいらないです。」
俺は外出中でこの一言しか口にすることはなかった。
家に帰るまでの道中、俺は何度も持っている袋の中身を確認した。なんといっても楽しみで、いますぐにでもやりたかったのだ。
家に帰ると母親の
「おかえり。」
という挨拶に返事をすることもなく二階の自分の部屋に入った。ゲーム機に今入っているゲームソフトを購入したものと入れ替える。
懐かしいローディング画面。かつて俺がハマッていたときと何ら変わっていない。なかなかゲームが始まらないのでこのゲームのパッケージを眺めてみる。以前にはいなかった可愛らしい女の子が描かれていた。
ようやくローディングが終わり、ユーザー名入力ページとなった。俺は普段ネット上で使っている"イキリト"と打ちこんだ。
そしてキャラクターメイクだ。男性プレイヤーの多くは様々な理由から、女性を選ぶのだが俺は男性を選択。現実の自分の姿とは似ても似つかぬかっこいい姿で作っていく。
完成の後、決定ボタンを押す。
…だが、ゲームは始まらない。何度も何度も決定ボタンを押すが始まらない。
ついに俺は堪忍袋の緒が切れてしまった。怒りのあまり
「どうなってるんだ、このクソゲー。新品だぞ!」
とゲーム機を叩いてしまった。
すると、自分の周囲がまるでゲームのオブジェクトのように崩れ去っていく。それと同時に俺の身体も同じように崩れ始めた。俺は自分の身体を見て、恐怖のあまり
「助けてくれ!」
と何度も叫んだ。普段なら母親の返事が聞こえるはずなのだが、今回は返事が聞こえない。どうやら母親には聞こえていないようなのだ。
そしてついに俺自身は完全に崩れ去り、ついに何も見えなくなった…
……か………ですか……………大丈夫ですか!
俺はハッと目覚めた。あれはなんだったんだろう。夢だったのだろうか、どれくらい寝ていたのだろうかと考えを巡らせていた。
そこで、俺はあることに気づいた。俺は自分の部屋にいたはずなのになぜか見知らぬ草原にいることに。
俺は思わず
「ここ、どこだ、、、?」
と口に出していた。
「ここはオオバヤシ村の外れの草原です。あなたはここで倒れていらしたんですよ。見慣れない顔ですがどうしたのですか?」
と、女性の声が聞こえた。
俺は驚きのあまりその女性に返答することも忘れ、突然自分が投げ出された草原を何度も見渡した。
そして落ち着かないまま、女性の方を向いた。俺は思わず
「えっ!?」
っと声を漏らしていた。その女性の顔が今朝俺が買ったゲームのパッケージに描かれていた女性と酷似していたからだ。
すると女性は驚いたのか目を見開いていた。
俺は呆然とした後、その女性に
「あっ、ごめん。あまりに君が知り合いに似てたから。」
と、声をかけた。
すると女性は
「そうでしたか。そういえばまだ名前を聞いていませんでしたね。私はアスナって言います。あなたは?」
と言ったので、俺は
「イキリト。」
と咄嗟に答えた。普段女性はおろか人と話すことなど滅多に無かったので普段やっているゲームにおけるユーザーネームを言ってしまった。