第3Game
ウリエルさんの部屋に入り、僕とサキエルはGAMEが検索できる機械の前に立ち、お互いにGAMEを検索し始めた。
えぇ~っと、勇者、勇者と…
ポイント限度は一千万と…
…………あれ??
画面には、該当結果が0件??
おかしい、こないだまでは沢山該当してたのに…
隣のサキエルに確認してみよう。
「サキエル??世界はどこにする??
それと、勇者は売り切れなのかな??」
サキエルからの答えは
「世界は勿論、俺らの世界の下界だな!ここが一番広いし、父上が一番力を入れた世界だから多種に渡って種族がいるしな!!
勇者も数多くいるぜ??俺は闇の勇者に決めて、今は優遇措置を選んでる所だから邪魔するなよ!」
世界は僕らの世界の下界…
『アースガルズ』
にしても、僕の方には勇者なんて全然検索がヒットない…
どうなっているんだと、画面を睨んでいると不意に後ろから声が聞こえた
「サキエルにアザゼル!僕に挨拶もないなんて悲しいなぁ!!」
この声の持ち主は、ウリエルさんだ、
「「ウリエルさん、こんにちは」」
サキエルと挨拶がハモった…
「ははは、二人とも仲が良いね!」
僕らが、今挨拶したのがウリエルさんで、ここのGAMEを一括で担当してる大先輩だ。
丁度いいと僕は思い、ウリエルさんに勇者が検索できない事を聞いてみよう。
「サキエルとは別に仲良くないですよ??
それより、ウリエルさんに聞きたい事が。」
サキエルは僕の言葉を聞いてこちらを一睨みしたが、また画面に向き直り設定を再開している。
「んん~??なんだい??」
「この機械で何度も検索してるんですが、勇者が出てこなくて、ポイントも一千万溜まったので足りてる筈なんですが……」
「ははぁ~ん、アザゼル君は部屋の前の値上げの表記を見なかったねぇ??
勇者は人気の割に数が少ないからね、今は一千五百万ないと選べないよ??」
ウリエルさんは笑顔でそう答えてくれた…
って、えぇ!!
じゃあ勇者は選べないじゃないか!!
どうしよう…
これじゃあ、サキエルに勝てないよ…
「えぇ…どうしよう…」
と悩んでいると…
「よし!!設定も終わった!!これで、負けないぜ!!
ウリエルさん、これでGAMEを出してくれ!」
サキエルは決まったみたいだ…
機械からデータを転送して、それをウリエルさんがGAMEにして出している。
「ふふ、闇の勇者か、サキエルはそっち系が好きだね」
「あぁ、カッコいいからな!
それじゃアザゼル、お前の部屋で待ってるぜ!!負ける準備しっかりして、早く来いよな!!」
そういうと高笑いしながらサキエルは部屋を出て行った。
くそ、なんてムカつくやつだと思い、僕はまた画面を睨む。
勇者がないとなると…
戦士…ダメだ、パラメーターが勇者には勝てない…
魔法使い…これもダメ…
僧侶…盗賊…魔物使い…聖者…騎士…
どれもダメだ…
世界の中でも職種は変えれるけど、先天的なものが後の影響にでかいからな…
はぁ~、僕はため息をつきながら、また画面に目を向ける、そしてタッチパネルをいじっていると…
『 』で検索を開始します…
あれ?
空欄で検索押しちゃってた、
該当結果は一件です。
『 』の人生。
空白??………説明文は……??
「『 』の人生
この人生は難易度を選ぶ事はできません、難易度設定は超ベリーハードです。
この人生にはある設定がかけられているため、優遇措置をつけることはできません。
膨大な数の困難が待ち受けています。
このGAMEをクリアしたときには、人生の謎がひらけるでしょう。」
うん、これはないな。
第一、難易度の割にポイント倍率が
GAMECLEAR時は400倍なのに、
GAMEOVER時は0倍…
つまり、いくらスコアを取っていても、クリアと認められなければ、ポイントは0なんて…
しかもだ、このGAMEの購入ポイントが、全てって表記もおかしいし、そして、よく見たらポイントを使って優遇措置も取れないみたいだし、パラメーターも表記されてない…
謎すぎて危険すぎる…
「まだ、決まらないのかい??
戦士とかでも、生き方次第で良いところまではいくと思うよ??」
っと笑顔でウリエルさんは言ってくれるが…
今回はサキエルに確実に勝ちたいしなぁ…
と思っていると。
「あっ、きたきた!決めたんだね!!」
えっ??僕はデータを送っていないのに!?
画面を再度覗くが、画面は送信しましたと文字が出ているだけだ…
そして僕のポイントは0に……
「あれ??これはなんの人生だろう??
アザゼル君シークレットモードにしたね??僕には隠さなくても良いのに…」
シークレットモードなんかかけてないけど…
あっ、タイトルが空白だからか!
「いや、それ空白の人生だったんです!タイトルなかったんですよ??」
「うん??そんな人生は無いよ??
もう、別に隠さなくても良いのに」
そういうとウリエルさんは笑顔でGAMEを渡してくれた。
僕は不思議に思ったけど、もうポイントも無いし、このGAMEで勝負しなきゃいけないのか。
よし、もう仕方ない、このGAMEでサキエルと勝負だ!!
僕はウリエルさんに、挨拶をして僕の部屋へと戻った。
部屋に戻ったら、サキエルがなんか文句を言って来たが、僕は無視して
「さて、サキエル、GAMEの勝負だ!!勇者だからって負けないからな!!」
サキエルは一瞬驚いた顔をしたが、
「はん、負けて吠え面かくなよ!!」
サキエルも画面に向き直る。
そして、二人ほぼ同時にGAMEをセットする。
そして、僕の視界は暗転し、機械質な声が頭の中に響く。
『GAME START』
人生の始まりだ。