第1Game
「あぁ~~~~、死んじゃったぁ…まさかあそこで強盗に出会うとは思わなかったなぁ…せっかくうまく55才まで進んでたのに…そいえばスコアはいくらだろう??」
僕は、そう独り言を呟くと目の前の画面を覗きこんだ…
場所:地球
性別:男
名前:高梨一也
年齢:55才
婚歴:一回
子供:二人
財産:家一軒(ローン残り三年)
貯金(二千万円)
幸福度:85%
難易度:ベリーハード
スコア:8543500
前回までのスコア:2563000
統合しますか??
はい/いいえ
おし!
今までで、一番ハイスコアじゃん!!
幸福度と、難易度のおかげだな、かなりスコアの取得に倍率がかかってる!!
もちろん、はいの選択しかないよね!
そして、画面のはいの選択肢に僕は指を置いた。
画面が切り替わり。
統合されたスコアは。
11106500です。
と、表示された。
ようやく、一千万を越えたかぁ~!
これで、僕が欲しかった勇者の人生が買えるよ…
長かったなぁ、もうかれこれ8回目の人生だよ…
そう、一人感慨にふけっていると背後の方から声が聞こえてきた。
「お~い、アザゼル~!!」
この声は…
振り返り、声の主を目にやると…
「サキエルか…」
サキエル…
正直言って、せっかくのいい気分の所で嫌な奴がやって来たもんだ。
ニヤニヤしながらサキエルが近づいてくると、僕の前まで来ると僕を押し退け画面を覗きこんだ。
「おっ、お前にしてはやるじゃねえかよ!
この間まで、イージーばかりやってたとは思えないな!!」
僕の事を、素直に誉めることなんてこいつにも良い所あったんだな…
「俺に比べればまだまだゴミみたいな数字だけどな!!」
前言撤回やっぱ最低な奴だ!!
こいつの名はサキエル。
最低な奴と言う言葉で僕の中ではすべて説明できちゃうけど、詳しく言うと、僕の双子の兄だ。
僕らはここ、天上界と言われる所で、お父さんに作り出された存在。
天上界には、僕やこのサキエルみたいに、お父さんから天使と呼ばれる存在がいっぱいいる。
お父さんは他にも、色んな生物を作ったみたいだけど、詳しくは僕らは知らないんだ。
アカデミアでは習わなかった。
…アカデミアでも、寝てばかりいた僕には習った記憶はない。
僕ら天使は作られた後は、少しの期間をアカデミアと呼ばれる場所で、この世の摂理や道理と言うものを習ったりしたんだが、合格点ギリギリでアカデミアを出れた僕はさっぱり覚えていない。
合格点に届かない天使達は失敗作と呼ばれ、お父さんに再調整と呼ばれる儀式を受けるみたいだった。
「しかし、なぜ父上様はお前みたいなでき損ないに名を与えたのだろうな
セラフィムの方がよっぽど良いスコアをだすぜ!」
サキエルはアカデミアを満点の成績で合格した。
五百点満点中五百点…
僕は合格点ギリギリの八十点…
合格点に届かなかった天使達は、今回はいない…
実は、過去を振り返っても僅かに二体しかいないそうなのだ。
お父さんが脳という器官を作り忘れたという二体を除いては、今までに不合格者はいないのだ…
僕、脳はあるよね…
無性に不安になった…
アカデミアを満点で合格した天使にはお父さんが名を与えてくれる、今までにもミカエル先生や、ガブリエルさん等に名を与えて来たらしい。
そして、満点を取れなかった天使は通称として皆セラフィムと呼ばれている。
この天界には、名をもつ天使はごく僅かだがセラフィムはたくさんいるんだ。
僕がなぜ満点でもないのに名を付けられたかよくわからないが、名を付けてもらって本当に良かった。
名があるだけで、セラフィムと言う多数ではなく、アザゼルとして個人でいれる。
そして、天使たちはほとんどの者が、今僕とサキエルがいる、セレクターと呼ばれる場所で
『GAME』
を行っている。