眠れない夜
僕にとって
朝は朝でしかないのに
夜が夜じゃない人びとと
起き続けている
窓を開ければ
昼間の蝉は星になってしまったから
強く弱く瞬いては
透きとおる声
いつも
遠くばかりを想っていた君は
いとも簡単にここを脱ぎ捨ててしまって
溢れかえった不在が
そこかしこに染みついている
眩しいぐらいがちょうどいい、
逆らってばかりの君は
笑いながら
夜にさえ立ち向かっていたけれど
ひとつふたつと
消えていく窓
僕の頭上の
雲と星と星雲
気が遠くなるばかりだから
眠りながらも
部屋の明かりを
絶やさなかった
君は
きっと
誰よりやさしい