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Strategy memory recovery  作者: 礼厳 誠安
第壹章 第07特型戦闘車小隊『ナイトウォーカー』
3/57

特に書く事ないので以下略。

そもそもなぜ、草薙颯はこの部隊に配属されたのか?それは数ヶ月前に遡る。

 ――『リトヴァルカ皇國』北西部、『トラスコシア』。数ある駐屯地(ちゅうとんち)のうちの一つにある陸軍病院で僕は目覚めた。軍医が来て、いろんな質問をしてきたが僕はなにも、自分の名前さえ覚えていなかった。そのときは意識がまだはっきりしていなかったのだろう。質問の内容は殆ど覚えていない。認識票により、自分の名前と素性は分かった。だが、過去の事を何も覚えていない僕にとって、それは他人の過去と大した違いはなかった。

 何もない空っぽの僕は、日に日に生きる気力さえも失っていった。そんな矢先のことだった。目覚めてから一ヶ月と少しほど経ったある日、僕の元に一人の男が訪ねてきた。その男は自らを、軍上層部からの伝令役だと名乗った。なぜ軍のお偉方が僕なんかにと思った時、伝令役の男が僕にA4サイズの封書を渡してきた。

 僕はそれを受け取り、中身をあらためた。中に入っていたのは、僕の現在の境遇に関する内容が書かれた文書と、作戦指令書だった。

 現在の境遇に関する文書の内容を簡単にまとめると、どうやら僕は『ムオーデル』なる敵部隊により壊滅させられた幾つもの部隊の中で唯一の生き残りらしい。その部隊はおよそ1年前突如として現れ、皇國軍の部隊を次々壊滅させ始めた。そして、部隊が次々やられていっているにも関らず、敵部隊の姿は、その手がかりの一つさえ掴めていないという。作戦指令書の内容は、その『ムオーデル』の調査・捜索と、これを見つけ出し殲滅すること。

 それをなぜ、あろうことか記憶喪失である僕にやらせようとするのか。これは私見だが、恐らくそれは、調査を進めていくうち何かの拍子で記憶が戻り、敵の姿を見ているであろう僕から何らかの情報を得られるかもしれないと考えたからだろう。

 だが裏を返せば、それは何の保証もないただの希望的観測でしかなく、その希望的観測に頼るしかない程この国は切羽詰(せっぱつ)まっているという事に他ならない。

 つまり、『ムオーデル』はそれほどまでに強大で、危険な存在であるという事だ。

 僕は戦場へ戻ることを決意した。理由は簡単、記憶が戻る可能性が少しでもあるのなら、それに賭けてみたいと思ったから。だがそれ以上に、僕が記憶を失う要因をつくった奴等の正体を自分の手で暴きたいという思いが大きいだろう。

 それから一ヶ月は、鈍った体を戦場で使い物になるようにひたすら鍛えた。

 そして五日前、僕は新ためて、リトヴァルカ皇國軍(こうこくぐん)総司令部直轄(そうしれいぶちょっかつ)独立殲滅部隊(どくりつせんめつぶたい)への配属を命ぜられた。


次の更新は8/3(月)です。

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