ここはどこ?
目が覚めると、貴女は大きな扉の前に立っていました。
「ここはどこだろう」と、周りを見渡しても、誰もいません。貴女は勇気を出して、扉を開けました。
事の起こりは、昨日の夕方のことです。
その日は何をやっても上手くいかず、挙句数年間片思いしていた彼にフラれて、頭の中が悲しみと怒りでグチャグチャでした。ため息を吐きながら貴女はふと近所にある神社の事を思い出して、行ってみることにしました。
人気のない境内を横切り、すぐそこの池へ向かいます。その池は願いが叶うという噂のある場所で、休日には地方から観光客がやってくる、隠れたスポットでもあります。
貴女は池の前でしゃがみ込み、水面に映る自分の姿を見ました。
「……酷い顔」
水面に映る貴女は、目が赤く腫れ上がり、笑顔を作ろうとしても顔がひきつり上手く笑えません。あげくの果てに、そんな自分の姿を見ながら涙が溢れてきました。
(何でこんな事になるの? こんなはずじゃなかったのに……そうだ)
貴女は池に向かって手を合わせます。
「明日になったら、私はすごく可愛くなっていて、豪華なお屋敷に住んでいて、素敵な彼にも出会えますように」
貴女は言うと、フッと笑いました。
(本当にそうなったらいいのに。なんて、無理か)
池に背を向けた時、ポゥッと池の水面が光りましたが、貴女は気付かずに、家へ帰って行きました。
次の日
貴女は見知らぬ声に導かれるように目が覚めます。
「おはようございます。さあ、扉を開けてください。これは夢ではありません。今日から貴女は、このお屋敷で暮らすのです。貴女に祝福を」
ベッドから起き上がると、そこは見知らぬ広々とした洋風な部屋でした。レイアウトも貴女好みで、まるで何年も住んでいるようです。
ベッドの隣にあるクローゼットを開けると、何十着もの服が掛けられています。手を伸ばして服を取り出すと、その場で着替えました。
(可愛い服だな。一度こんな可愛い服、着てみたかったんだ。でも、私にこの服似合ってるのかな)
着てみたはいいけれど不安になった貴女は、鏡でその姿をチェックしてみます。
「エッ❕❔」
貴女はその姿に驚きました。
(これが私?)
鏡に映る貴女は、それまでの貴女とは別人の姿になっていたのでした。
(それじゃあ、あの扉を開けたら……)
貴女は扉の前に立って、ゴクリとドアノブに手をかけました。
次回は、主人公がいる場所がどこか。イケメン達との出会いも掲載予定です。