十二
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私は、あいつの眼を覗き込むようになっていた。
まるで、その、呟きからは聞こえない、パズルの足りないピースを探すように、 耳を澄まし、眼を覗き込む。
その瞳は、まるで、底なし沼のようでもあり、
満月の光に揺らめく、湖の水面のようでもある。
吸い込まれそうな、それでいて、誰も立ち入れぬような…
あいつが、ひとたび、仮面を取ると、
そんな瞳が現れる。
こういうのを、心奪われる。と、言うのだろうか?
そもそも、今まで、私に“心”なぞ、あったのだろうか?
そうだな、きっと、“心”はあったのだろう。
呟きを受け取る記憶媒体として、心は常に、そこにあった。
真っ白な心が、そこにあった。
心は、揺らめく事もあれば、奪われそうになる事もある。
今まで、私が、知らなかっただけなのだろう。
知らなかっただけで、心は、元々、そういうモノなのである。
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