十
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私は、呆然と、立ち尽くした。
人間の癖に、なるべく、何もせぬという、あいつ。
何と、人間らしからぬ事か!
人間は、いつも何かをしようとしている。
人間は、いつも、何かを成そうとしている。
なのに…だ。
全く、何を考えておるのだ?
…いや、しかし、だからかも知れない。
私と、あいつが、こうして話をすることになったのは。
あいつの呟きが、私の鼓動を刻む。
血が通い、心臓が動く。
“同情もしなければ、邪険にもしない。”
それは、いつも通りだ。
ただ、何かが、溢れだす。
私の中で、溢れ出す。
あいつの呟きが、私の中に降り積もり、埋め尽くし、
どうすることも出来ずにいる。
…今の私は、白くない。…
そう!今の私は、白くないのである。
よく分からぬ“色”どもが、渦を巻き、隠れ、
また、突然、現れる。
雨が土に染み込むように、消えて行っては、流れて行ってはくれない。
その、どうしようもない、もどかしさが、
私に“気配”を与えていた。
存在の、気配を、もたらしていた。
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